調査宇宙船 クレイザー Hcraeser
四次元の通路 スィワー Sewer
海洋族
鮫似 シャーカン Sharkan
鯨似 ホエリアン Whalian
海豚似 ドルフィニアン Dolphinian
鯱似 オルカン Orcan
シャーカン M 普通 私 船長(キャプテン Captain) ヴィロック Veloc
ホエリアン F 普通 わたし 操作者(オペレータ Operator) レンズ Lens
ドルフィニアン M 俺 太い 船員(クルー Crew) アーニー Earny
オルカン F 細い 自分 船員(クルー Crew) パル Pal
万能機器 あらゆる機能が入ったもの。携帯電話の代わりにもなり、コンピュータの簡易版でもある
「それにしても、のどかですね」とレンズが、湖の情景を眺めながら言った。その湖の向こうでは、プレハブを建てている、オルカンにしては細めなパルと、逆にドルフィニアンとしては太いアーニーが小さくも見えていた。ようやく見つけた湖も、それほど大きくはなさそうだ。
「だが、静か過ぎはしないか? 小鳥達もいないなんて、なんだか不気味だ」とヴィロック。
「そうですね……」
そして二人は、そのまま湖をぐるりと周回したが、結局これと言ってめぼしい発見もなく、生物も確認されなかった。
二人はそのまま、船員たちのもとへ合流すると、今度はプレハブが完成するまで、水質や土壌の調査を行なった。だがこれも、特別変わった発見もなく、ごく一般的な、自然のある世界と同等のデータが出て来ただけだった。
「船長、プレハブが完成しました」
それは、海洋族仕様で、入り口やら何やらが大きく、またその建物だけでも充分に大きかった。一般的な生物なら八人ぐらいは住めそうだが、彼らには五、六人程度となっている。
中に入ると、あらゆる生活設備が用意されており、湖からの水を濾過する機械や、自然発電するポータブル電源などもあって、一つの家としては充分な機能を擁していた。
「それでは今日は、新惑星の発見を祈り、パーティーでも開こう——人数は少ないがな」
「ははは。でも、飯が食えるだけでも俺は充分さ」
「全くアーニーは。少しは痩せなさいよ」そうパルが言った。
「いいだろ、オルカンはこのぐらい寸胴な体型じゃなかったのか?」
「あんたはオルカンじゃないでしょ」
「気にするなって」
ここで、船長がこの会話を締めた。
「そうだな。今回だけは、腹がはちきれるまで食ってもいいぞ」
アーニーはよしと、拳をぎゅっと握った。パルはやれやれと思いつつ、まあ今回はしかたがないわねと、その後の祝杯を大盛り上がりの中楽しんだ。
人数が四人と少ないながらも、パーティーを楽しんだ船員達。するとその時、船長の万能機器から、アラームがなった。
「おや、もう夜のようだな」
しかし辺りは、まだ昼のように明るい。
「どうやらここは白夜が起きるようですね」とレンズ。
「なるほど。だからこれだけ大規模な森も出来るわけか……よし、それじゃあパーティーは、これでお開きだ」
「げふぅ! いやあ、美味かった。今日は久々に限界まで食った」そう言ってアーニーが、寸胴に膨らんだお腹をぱんぱんと叩いた。
「そうね。今日ぐらいは、食べ過ぎてもいいわね」とパルも満足そうだ。
「それじゃあみんな、片付けしましょ」
レンズの言葉で、船長も含め、全員で後片付けをした。そしてみんな、プレハブに戻り、それぞれの部屋に入ると、夜なのに明るい光を遮るよう窓のブラインドを降ろし、ぐっすりと床に就いた。
そして再び、ヴィロックのアラームがなった。船長はいつもどおり、ベッドから身をおろして欠伸をして部屋を出ると、みなも同じ時間帯にアラームをセットしていなのか、四人がぞろぞろとリビングに出て来た。
「おはようございます、船長」とみなが挨拶をすると、船長も答えた。その後はいつもどおり、海洋族らしい数キロもの食事を取り、特にアーニーはその倍、パルは半分程度で朝食を終えた。
四人が外に出ると、まだ外は明るかった。
「今日はどうします、船長」
「そうだなレンズ。とりあえず、この湖底を調べるか。それとアーニーとパルは、空に観察機器を飛ばして、この惑星の全体の地表データを取ってくれ。他にも水がある場所はあるはずだからな」
早速船員達は、作業に取りかかった。全員昨日のパーティーの時とは違い、新惑星ということもあって、すっと心を切り替えたのだ。