もう一つ、ネタがあったのでどうしようかと思ったのですが、少なからずメモとして残して置けばわすれないと思い、こちらの方の物語も書いておきます。でもうまくいけば、初の二つ同時進行になるかも?
調査宇宙船
クレイザー が、ついに未確認惑星を発見した。四次元の通路と呼ばれるスィワー が無限大に存在する宇宙では、未確認の惑星だけでなく、未確認の銀河すら発見することも理論上は可能である。だがそれを見つけられる確率は数学的にざっくり言えば lim(x→∞)1/x であり、即ち0である。しかしながらその0とは英語のゼロ でなく、日本語的な意味の零 と同じで、零細企業という言葉のように「ごく小さい」を意味する0である。クレイザーは、そんなごく小さい0の確率を信じ、百年という長い歳月をかけ、船長を二回にも分けて継いだすえに、ついに新惑星を見つけたのである。
「ここまでの航路を保存したわ。その情報と今のスクリーンを本部に送信したら、次はどうする?」
「もちろん、地を踏むに決まってるさ」
「了解」
海洋族である鯨似の雌
ホエリアン のオペレーターは、新たな惑星の重力や自転速度などを計算し、宇宙船の軌道を求めると、それをコンピュータにセットした。鮫似の雄
シャーカン の船長は、その様子をじっと見詰めた。そして僅かにだが、徐々に、確実に迫ってくる惑星に、心を躍らせた。自分が船長の時に、まさか新発見をするとは思いも見なかったので、ポーカーフェイスな彼の心情は、フェスティバルな気分であった。