すみません、今月はついに一人暮らしをするということで、しかも初めてなので色々四苦八苦しております故、作業が滞り気味です。
そんなこんなで、SS以上のSSSな話を一つ。勢いだけで書いてみました。
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俺は帰国子女だ。でも男だ。男の鯱だ。
そんな俺が、母国に帰って来た。体を立派に大きくして。
「ウェルジュ君、少し太り過ぎじゃないのか?」
孤児院の院長の海豚が言った。
「そうですか? 向こうじゃ普通でしたが」
「そうなのか……周りはみんな、君みたいな体付きなのか? 種族を問わず?」
鯱ことウェルジュは頷いた。それは事実だった。だが院長は今回、このウェルジュを初めての国へ留学させたので、少しばかしびっくりした。
母国に帰ってから、彼は色んな人に向こうでの出来事を語った。食生活や生活習慣など、この国とは大きく違って驚いていた。そしてその習慣がすっかり彼にも染み込み、周りは少し戸惑っていた。
「ほらほら、早く食べちゃえって」と後輩の鮫に食べ物を勧めるが、その人はもうお腹いっぱいのようで、流線型のお腹が途中から、ぽっこりと膨らんでいた。
「あっ、ちょっと! 悪いがモツ鍋を追加で——まだまだ食うぞぉー」
意気込むウェルジュを余所に、後輩や同輩らは、今日も苦しみを耐え抜いた。
数年後。周辺に変化があった。みんなウェルジュに確りと従えていたのだ。
「すみませーん、おかわり下さい。あっ、ウェルジュさんも何か頼みます?」と一人の沖巨頭。その体型は、通常の倍以上もあり、脂肪のだぶつきが垣間見えていた。
「むぐぐ、そうだな。コーラと、ピザを頼む」
「あ、それと自分、串焼きセット食べたいっす」
「ならジャンジャン食え。今日は俺のおごりだからな!」
『はい!』
笑顔で頷く、個室一杯の5人の仲間達。だが彼らがいる部屋は、小パーティー向けの10人部屋だった。
「おい、追加だ!」
「は、はい!」
砂滑の店員が慌てて、とある鯨の客に皿を持っていった。並みの3倍はあろうお腹に、更なる料理を詰め込もうとしている。五年前ならそんなことはしなかったが、最近そんな輩が増えていた。
「全く誰だよ、こんな習慣植え付けたの」とぼそりの店員。
「ぶはぁ、うんめぇ〜」
「ウェルジュさん、お代わり頼みましょうか」
「そうだな、頼むわー」
8人用の席の傍らにいる4人の海洋族が、向かいに1人で座る、強大無比……じゃなかった、驚太夢肥(きょうだいむひ——驚くほど太り、夢のごとく肥えた)な鯱が、4つの席を独占しながら言った。汚らしいゲップを周りを気にせず発し、羞恥心無く腹をボリボリ掻く。足は大股に開いているが、それでも一般的な胴体並みの極太でだぼついた肉の付いた太股上には、水風船のようなパツパツなお腹が、重たそうに前横に伸びて乗っていた。
十年後。その世界は、あなた方自身でご想像してください。さぞかし大変な様相になっていること間違いないでしょう。そして寸刻、その姿形は変幻していることでしょう。
完