一昨日ポンとTVからネタを拾えたので、さっとですが太膨話を書きます。
本当は短編にする予定でしたが、大概書いてる内に話が長くなる傾向にあるので、色々蓄積してる太膨話シリーズはあるのですが、今回新たにシリーズを展開します(でも出来るだけ早く完結させたい所です)。
賞品:世界一周旅行也 プロローグ
俺の名はガーヴァンディ(=Garvandy)。鍛えられたこの肉体は、俺にとって世界一大切な物だ。日々の鍛錬で微量ながら増す筋繊維。怠けず努力した結果が目に見える、これほど素晴らしい指標は世の中にあるだろうか。
さぁ、今日も俺の肉体美を世の中に見せつけてやろう……
「おー、5番切れてるぞ!」
「素晴らしいわ5番!」
俺の耳には、俺を呼ぶ声しか聞こえない。フィルターを掛け、自身を鼓舞させることで、筋肉達も一層輝くのだ。気持ちの持ちようも、筋トレと同じくして重要な要素なのだ。
そして俺は世界大会の会場で、全国ネットに留まらない、世界中のメディアにこの筋骨隆々の姿を見せつけてやった。もはや俺の筋書き通りの展開。審査結果も、その轍に見事用意されていた。
「……優勝は……5番のガーヴァンディ!」
「ヨッシャァァ!」
大声を上げ、俺は片腕を天に捧げた。
「おめでとう、ガーヴァンディ。見事優勝した君には、大会側から世界一周旅行を贈呈する」
「やったな、ガーヴァンディ!」
ライバルであり相棒のハパッソ(=Hapasso)が激励をくれた。俺は満足げに頷き、他の同志達にも軽く手を上げた。
「んでよガーヴァンディ、これからどうすんだ。早速世界一周旅行に行っちまうのか?」
「ああ。今まで努力してきた褒美として、偶にはのんびりするのも悪くないと思ってな」
「そうか。暫くの間淋しくなるな」
「へっ、そう言っておきながらライバルの俺がいなくなって、少しは大会で気が楽になんじゃねーのか?」
「ハハハ! それは強ち否定出来ないな」
そして俺は、相棒と吹っ切れたかのように爆笑しながら会場をあとにした。
その後、俺は宣言通り世界一周旅行に向かうため、巨大なクルーズ客船へと乗り込んだ。会場への移動は常に飛行機のため、このようなクルーザーに乗るのは初めてだった分、俺の気持ちは一段と高揚していた。更に話によると、船内には居住以外にも多数の設備があり、なんと運動施設も完備されているとのこと。俺は乗船後一番にその区域に向かい、軽く中を一瞥したが、筋トレを行なうには充分の機器とスペースが揃っていた。
俺はあれこれと今後の予定を思い浮かべながら、次に自分の泊まる部屋へと足を運んだ。するとそこは大会優勝者ということもあってか、一般の部屋とは入り口から既に違っていた。扉は両開きで、室内はまるで船とは思えないほど余裕のある空間が広がっていたのだ。
「素晴らしい。フッ、久々に俺の予想を裏切る奴が現れたな」
そして俺は、満足げに高級なキングサイズベッドに横たわり、事前に用意されていたルームサービスでまずは軽い骨休めを始めた。
続