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ほんとはもうちょっと4話を長くしたかったのですが、余り時間をあけるのもあれなんでキリの良いところで公開。


♂ ガーヴァンディ Garvandy

 

♂ ハパッソ Hapasso

 

♀ ドーガン フレイア Flair

 

♂ シャーカン パブレーン Publane

 

 

 

    賞品:世界一周旅行也 4

 

 

 ハパッソは、ガーヴァンディの帰りを待っていた。特に連絡などは受けていないが、一番のライバルであり相棒である彼を出迎えるのは、ハパッソにとって普通の行為である——と言いたい所だが、実は彼にはもう一つ目的があった。

 クルーズ客船が、港に入ってきた。停泊すると船が舫われ、ステップが岸に掛けられた。

 続々と下船する人達。ハパッソは待ち焦がれた様子で乗客らを眺めていると、やがて何やら目立つ存在が、船の出入り口から現れた。

 ——どしん。重々しい足取り。その脚の筋肉は見事なもので、下腿筋、大腿筋が、変わった言い方をすればボコボコしてる感じになるほど、幾重にも筋肉がみっちりと付いていた。これは相当の野郎だなとハパッソは頷いていたが、次に現れ下腹部を見て「んっ?」と首を傾げた。先ほどの厳つい脚とは違い、それは綺麗な曲線をえがいていたのだ。やがて腹部の全体像が浮かびあがると、その部位は驚くほど膨れたいた。太鼓腹とかそういう次元ではない。だが単なるデブとも違う。新次元の体というか、まあ筋肉デブっちゃあそうだが……にしてはどうにも腹がでか過ぎる。あまりにもデカ過ぎて、股座(=またぐら)の一部を隠すほどなのだ。

 しかし次に腕を見遣ると、再び下半身のような立派な筋肉が窺えた。ただ脚よりも筋肉量は劣った感じがすることから、筋肉を仕事としてはいないと言える。

 なるほど、この人物はなかなか面白い体つきをしている。果たしてどんなツラをしているのか、ハパッソは興味深げにその人物の顔を見た。すると——

「——は? う……嘘だろ?」

 彼は口をあんぐりとさせ、憮然とした。それがどれぐらいの時間続いたのか、気が付くと噂の筋肉デブが、彼の面前にまで歩み寄っていた。

「ハパッソじゃないか! 久しぶりだな」

「な、なんだガーヴァンディ、その腹……酒太り、っていうレベルでもねーし、一体全体どうしちまったんだよ!?」

 目の前で見るとより一層ガーヴァンディの腹の巨大さが伝わり、ハパッソは驚愕に腰を抜かしそうになった。そんな相棒に向かい、ガーヴァンディは諭すように答えた。

「ハパッソ。俺はもう、引退したのさ」

「い、引退?」

「俺にとって大切な存在を、この旅で見つけたのさ」

 すると、ガーヴァンディの巨体で後ろに隠れていた女ドーガンが、彼の横に現れた。それはそれは美しい、というより可愛い感じの容姿で、思わずハパッソも胸をキュンとさせた。

「……そうか、そういうことだったのか。もう、お前とは張り合えないってわけか」

「だがおかげで(=あぐ)ねることなく、大会は楽になっただろ?」

 にやりと口端を持ち上げたガーヴァンディに、ハパッソも腹に落ちたのか、面白そうに言葉を返した。

「フッ、確かにその通りだ。お前がいないあいだ、俺は大会に2回も優勝出来たからな。おかげでお前と同じ世界旅行も獲得したぞ」

「やはりな。ならお前も、これから世界旅行に行くってか?」

「そうする予定だったが、お前の体を見て気が引けてきた」

「ブハハハ! まっ、世界旅行は色んな体験が出来るし、悪くはないぞ。それにそろそろ、お前も人生の伴侶を得た方が良いしな」

「へっ、余計なお世話だ。さてと、そろそろ俺は船に乗らなきゃならない」

「そうか。てことは次は最低でも来年ってことか」

「問題は、その時のお前の姿がどうなってるかってことだな」

「きっと度肝を抜くぞ。楽しみにしてな」

 そういってガーヴァンディは自慢のデカっ腹を叩いた。それから二人はガハハハと大笑いし、別れを告げた。

 

 

    続


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