海外のサイトを見ていると色んな太膨に巡り会えて、免疫があったりなかったりしますが、その中で最近新たにハマり始めたものがあります。
diaperfur。fur は獣で diaper はオムツ。いや、決してしもの物が好きな訳ではありませんが、この装備品が自分の心を擽っています。
といいますのも、自分が太膨を書く際はリアリティを追求しがちです。体重変化もコメントアウトしながら隠れて一応種族関係も含めて概算してみたり(例えば竜は尻尾や羽があるんで、その分重量を加算したりとか)、あとは一時的に良く書いたお風呂シーンなんかもその一つです。大層太れば自分で体を洗えなくなりますから、誰かに体を洗って貰う描写をすることでそのキャラが如何に普通の動作が出来なくなったのかを連想させるのが、自分の好きなのです。
そしてオムツもそう。前述の通り汚穢なものはダメですが、穿かせるだけなら衣服同様。それがあることでキャラが一段と介護を必要とするのを象徴させ、どれ程のレベルの肥満度かを察することが出来ます。このようなオブジェクトやアクションに拘るあまり、この度この diaper に新境地を開拓し始めたのです。
まだこの話では出ませんが、後半でその話も交えて新たな一歩を踏み出したいと考えている次第です。
固有名詞
男 緑竜 ムープ Moop
男 赤竜 ガンヴァ Ganva
レストリート Restaureet 大型ショッピングモールにある料理店が軒を連ねる道
ムープの暮らし 〜第一週目 夕〜
自宅に戻ったムープは、夕食までの時間潰しにソファーで寛ぎながらテレビを見始めた。だが毎度のこと、母国に比べると
温 い番組しかない。そもそもこの島では、独自の専門チャンネル2つしか放送されていない。1つ目は国際チャンネルと呼ばれる、国際的なニュースを放送、解説する情報番組オンリー。ある意味これが一番の刺激と言っても過言ではない。2つ目は島内に関する情報番組や料理番組、音楽番組を放送する島内チャンネルだ。これに関しては常にまったりとしたテンポで、出演する人達もみんなのったりとしてそうな大柄ばかり(これに関しては島民性なので仕方がないが)。
いつしかムープは、左側の手に届く範囲にある間食棚から大きなスナック菓子の袋を片手に抱え、4Lのココナッツジュースと共に鑑賞より間食を楽しんでいた。そしてふと気が付くと、袋の中身は空っぽになっていた。ムープはその中を一応覗き込んで確認すると、空袋を右脇の90L式のゴミ箱に捨てた。
「……ふぅ。こんなことしてたらまた太っちゃうかなぁ」
そう彼はズボンに乗っかったお腹を見つめた。初めはこの体型で、ズボンのみの上を着ないこの島のスタイルに合わせるのには抵抗を感じるだろうと思っていたが、島に来て島民達の姿を見たら
然程 問題ではなくなっていた。だが今、母国での暮らしを思い返すと、彼の不安は沸々と舞い戻り始めていた。忙しい日々、その合間合間で世話しなく朝昼晩の食事を取る。帰宅後は疲れからか夜食が欠かせなかった。そのため休日はとにかく家から一歩も出ないで体を休める。だが平日に一日四食も取っていれば、自然と胃袋が拡張されてしまい、結果自宅で休養しながらもムープは、無意識にその胃袋を満足させるだけの食事と間食を繰り返してしまっていた。
やがて体調を崩した彼。暴飲暴食の原因が最もだと周囲からは揶揄されたが、医者曰くストレスによる内蔵組織の損傷だと診断された。本人もそう思っていた。何故ってそりゃ、その当時の彼はまだぽっちゃり程度のレベル。それよりも遙かに太った人達だってここの島民に限らず母国にも居たからだ−−まあそれは、小さい頃から太り続けた肥満に対する経験と慣れもあるかも知れないが、ムープのようなストレスによる過食で彼よりもぶっくらと肥えてしまうことだってある。
つまりは、彼は運が悪かった、はたまた身体への影響が早く出てしまったわけである。幸い処方された薬のおかげで、ムープの体は一月かけて完治した。だが体を壊してから彼の心には、変な
痼 りが残った。その数ヶ月後、彼はここに来た。『−−それでは<島内ニュース>を終了します。18時からは<料理の学び>をお楽しみ下さい』
「あっ、もう18時かぁ」
ムープは軽い溜め息を漏らして、ソファーから立ち上がった。
『今回の料理は、島特産の脂身たっぷりハンバーグを作って見る<料理の学び>です。それでは調理師の−−』
「ハンバーグ! そう言えば昨日出前のチラシが入ってたような」
玄関近くの小棚に向かった彼は、チラシ入れの一番上の紙を手に取った。それはハンバーグ専門店の出前のチラシで、彼はそれを見て無性にハンバーグが食べたくなり、早速携帯電話から注文をした。
十分後。相変わらずの早さで出前が到着する。ピンポンという音が鳴り、ムープは玄関の扉をあけた。そこには四肢がやや頑丈そうだが、お腹が立派に肉付いた太鼓腹の竜がいた。
「どうも<バーグバーグ>です」そう言って彼はリーダーを差し出した。ムープは慣れた手つきで首に下げたマネーカードを翳して清算をし、料理の入ったプラスチック製の容器を受け取った。
「ありがとうございます」
ムープは美味しそうな料理に溜まらず顔を綻ばせて言った。
「またのご利用お待ちしてます」
相手も笑顔で返し、扉を閉めた。
早速ムープは容器を手にソファーに戻ると、その蓋を持ち上げ脇のゴミ箱に捨てた。
「うわぁ、美味しそう!」
中からはホクホクと湯気が上がり、旨そうな香りが彼の鼻を突いた。容器内には幅30cm、奥行き15cm、厚さ5cmもある母国では考えられないどでかいハンバーグが入っており、更にはジャガイモ3つ分の粉ふき芋も添えられ、それぞれに掛かった特製ソースが何とも胃液を湧かせる代物であった。
先ほどの太ってしまう懸念は何処へやら。ムープはそのハンバーグを付属のプラスチック製ナイフとフォークで勢い良く食べ始めた。そしてハンバーグと粉ふき芋は、あっと言う間に彼の胃袋に収まった。最後に口周りにたっぷりと付いたソースも、綺麗に舌で取り去った。
「げっぷ! んー、久しぶりで最高」
満足そうに彼はプラスチック製の食器類をゴミ箱に捨て、
曝 け出たお腹を二回叩いた。ぽよんと、そこの脂肪が揺蕩 った。その感覚に彼は、再び夕食前のことを思い出した。「……体重計に乗ってみようかな」
この島に来てまだ一週間で大差は無いだろうし、そもそも島民らは殆どが自分より大柄だ。それでも心配になった彼は、体重を測定するため玄関に向かった。
何故玄関なのか。それは単純に置き場所が無かったためである。そもそもこの島には体重を計る習慣がないため、体重計そのものが売っていない。しかしながらムープは一度体調を壊しているので、代わりに大型の
台秤 を購入しており、その大きさが置き場所を限定させたのだ。早速彼は、それに両足を乗せた。目の前のディスプレイにはこう表示された。
「ひゃ、110kg!? 一週間前より5kgも増えてる……」
この短期間でこれはちょっとマズいか。けれども体調は以前より遙かに良くなっている。島特有の保養地に向いた風土のおかげだろうか。思えばここの島民達の大部分が巨体であるのに、筋肉質でない人でも健康面では一目瞭然の健全さを見せている。この島の風習に合わせ、環境に適用すれば体重は懸念事項ではなくなるのだろうか。
「でも、少しは気を付けようっと」
現在の時刻は18時半。就寝までは時間があるので、彼は再びテレビを付けた。やってるのは国際番組か島内音楽番組。彼は島内の方を選択したが、毎度島国独特のゆったりとした曲調に次第に欠伸が漏れ始める。彼はソファーに備え付けられたリモコンを手にし、ソファーの背凭れを下げて
フットレスト を上げ、ベッドで寝る体勢に持ち込んだ。そのままぼうっとテレビを眺め続けていると、片手には自然とスナック菓子が用意され、それをポリポリと摘んでいた。やがてそれがなくなるとゴミ箱を捨て、流れ作業的に左脇の棚から新たなスナック菓子とココナッツジュースを手にした。暫くして、事前に設定して置いたテレビのスリープタイマーが作動する中、ムープはぐーすかと深い眠りに就いていた。両脇にはそれぞれ、大半を食べたお菓子と半分飲み干したジュースが抱えられていた。
続く