実を言うと、起承転結の起と結は初めから出来ていまして、肥大化のタイミングも決まってたんですが、きがつけばうだうだと書いてて17……
分かったことは、確かに勢いで書くのもいいけど、水増し小説みたいにならないよう注意した方がいいということですね。肥大化イベントがあればいいんですが、そこに至るまでの承が今回長すぎたと判明。そろそろグレース・タウンもおしまいに近づいてますので、次回の小説ではシンプルに話が進むよう心がけたいかなぁなんて思いました。
あと因みに、予め言って置きますが、ラストはそれほど深くないというか、大したことはないです(爆
グレース・タウン Grace Town
ノガード Nogard
男 竜 筋肉質→肥満→ 俺
フロウ Flow
男 狼 痩せ→痩せ気味→ 俺
タール Tar
女 鼠 ふっくら 私
ドレイジル Drazil
男 蜥蜴 痩せ→痩せ気味 自分
ニプロッド Nihplod
女 海豚 痩せ→痩せ気味→普通→ あたし
タブ Tab
男 蝙蝠 痩せ→痩せ気味 俺
イザーラ Izara
男の子 蜥蜴+鼠 ふっくら 僕
ルエイソレット Ruasoretp
男 翼竜 俺 筋肉質→超肥満→
四ヵ月後……
「あと一ヶ月か」監視室の室長が言った。グレース・タウンの中部最上階部屋のモニター映像には何も映らないが、別の施設の監視もここでは行なっているので、仕事は相変わらず続いていた。
「ええ。裁判所の判決もようやく出ますからね。それから半月後には、グレース・タウンへと移送されます」
「全く、最高裁判所が年二回しか裁判を行なわないなんて、もっと回数を多くしてくれれば、こんなに待つ必要がなかったのに」
「でも良かったじゃないですか。あのノガードが、どうやら感づいていないようで」
「そうだな。唯一の連絡網が途切れてしまったが、まあこのまま行けば、問題はない」
「そして、例の作戦を実行する」
室長は頷いた。
団欒所の昼前。朝の仕事を終えたノガードの部下達が、揃って会話をしていた。
「最近、本当に平和だな」ドレイジルが欠伸をしながら言った。
「ああ本当だな。それはそれで良いんだが、あまりに退屈過ぎる」とタブは暇そうに、自分の膜をいじって弄んでいる。
「それにノガードさん……どんどん太っていきますね」と、早めの昼食を取らせ寝かしつけたイザーラを抱えながらタールが言った。
「でも、四肢の筋肉はちゃんと維持してるようだし、安心したわ。ルエイソレットの罠のせいで、あいつみたいなぶくぶくになったらたまらないもの」
ニプロッドはそういいながら、テーブルに常備してあるスティック菓子の袋を切って、それを摘んだ。
「そういうお前も、結構肉付いてるじゃんか」とフロウ。彼女はここのところ、同僚達の中で一番太り始めている。だがそれは、種族的なものが大きく関与している。だからこのむっちり体型は、同族からすれば垂涎の的である。本人もそのことを毎回みんなに説明するのだが、ノガードの変化っぷりに、感染してるとは思わないまでも、どうしても気がかりになってしまうようだ。
「大丈夫よ。本来、鯨なんかを見れば分かるけど、かなりでっぷりしてるように見えるでしょ? あたし達からしたら、あれぐらいが興奮の的なのよ。そういうフロウさんは、どうなの?」
「うっ……それはまあ、言わないでくれよ」
「ははは、確かにニプロッドのことは分かるけど、フロウさんの場合はなあ」
ドレイジルが笑いながら言うのも無理はない。フロウは、幾ら普通の体型になったとはいえ、ここの所その状態を行き過ぎようとしているのだ。なにせノガードの片腕でもあるし、仕事は事実上連絡係。元部下の彼らよりも、ノガードのようにあまり行動派でない仕事が主なため、体が怠けてきてしまっているのだ。
しかしフロウは、気持ちを切り替え、こう口を開いた。
「でもまっ、幸せが何よりだ。正直お前達が、本当に悪い奴らでなくてよかった」
「そうですね。思えばみんな、この更生施設に来たからとは言え、優しいですものね」とタール。
「そうだな。それもこれも、みんなフロウさんのおかげだ」とタブ。ドレイジルも賛同して、
「ああ、その通りだ。周りから捨てられ、こんな施設で死にかけていた俺を、貧しいとはいえ、助けてくれたんだからな」
同僚は全員、フロウに目を向けていた。それに鼻息をもらして笑うフロウだったが、顔は自然と赤らんでいた。それを隠そうと彼は、テーブルにあるスティック菓子を手に取った。
「ノガード様。最近また、体が大きくなられましたね」
ウェスト周りを、特に入念に測る店主。ここはノガードお気に入りの洋服店で、全ての服は、そこの店主に作って貰っている。
昔は、スーツだけだったが、もともと竜の体は大きく、服のサイズが少し特殊なために、彼の今の体では、市販の衣類は全て入らない。なので下着からなにまで、全部ここでオーダーメイドしているのだ。それもこれも、全て膨らみ過ぎたお腹が原因なのだが、ノガードにはもう、どうでも良くなっていた。周りからも何も言われないので——しかしそれは、彼がこのグレース・タウンのトップであるがゆえに、物申せないのが原因であり、彼の肥大化に歯止めがかけられないでいた。
そして現在の昼。彼は新しい衣類とスーツを新調してもらっていた。今着ているボスとしての風格を保つための立派なスーツは決まっているように見えるが、Yシャツは、ジャケットでどうにか隠せる下腹部だけは苦しいので外しており、ズボンのチャックはどうにかあがってるが、フックの所は、三メートルの特注ベルトの裏でこっそりと外してある。
「それではノガード様。いつもどおり完成後は、ご自宅に配送させていただきます」
「分かった。それと一つ、頼みたいんだが」
「なんでしょうか?」
「悪いんだがズボンの方も、伸縮性のあるものにしてもらえないか?」
「え? あ、は、はい……」
そして店主は、作業室に戻ろうとしたが、何かを言おうと振り返った。だがノガードは、既に店の外に出ていたので、店主はそのまま作業室に入った。
アジト兼家に戻ると、ロビーには誰もいなかった。仕事に行ったり、自室に篭っているのだろう。ノガードは、真っ先に食料庫へと向かった。
そして彼は、そこから出ると、地下へと降りて行った。昼食の準備だ。彼の腕には、九箱のダンボール箱が抱えられており、総計で90キロもあるのだが、さすが筋力だけは保っているだけのことはあり、体の重みによる持久力切れの息の乱れ以外は、全然問題なかった。
地下では、いつもどおり手前のルエイソレットの牢屋に入る。幸い入り口は大きいので、今の状態でもどうにか中に入れた。そしてノガードは、ルエイソレット用に三箱のダンボールをどすんと置いた。
ルエイソレットが、もはや立てないのかそれを諦めたのか、座ったままの状態で、両腕や腰を交互に大きく振りながら尻歩きをした。その姿はもはや赤ん坊のようだが、全身のだぶだぶと付いた肉が揺れる様は、可愛げなど一切なかった。彼の脚はもはや、広がりすぎたお腹の土台としてしかなっていないようだ。だがそんな脚も、どんどんと広がり続けるお腹を載せられなくなってきているのか、まるでスライムのように、両脚の両側からお腹のお肉が食み出て垂れ下がっていた。
そんなお腹を載せたまま脚を持ち上げながら尻歩きをすれば、息を切らしてしまうのは目に見えている。ルエイソレットはそんな状態で、短いながらノガードの筋肉質な腕ほどにぶっとくなった尻尾(だが中身は全部脂肪)に体重を預けながら、ノガードに一箱目の中身を取ってもらい中身を受け取った。嬉しくも腕についた翼竜特有の膜が小さな袋代わりになり、ルエイソレットはそこに飲み物をいれて、いつでも取り出せるようにしていた。
「はぁ、はぁ……なあ、ノガード」と肉を頬張りながら彼は言った。
「なんだ?」
「どうしてお前、ふぅ、こんなにも面倒見が良いんだ?」
「そんなの俺の勝手だろ」
「そう、か……」
ルエイソレットは分かっていた。何かしようと思うなら、とっくのとうにやっている。五ヶ月間も、牢屋にいれられているとはいえ、満足に食事も与えられていることは、普通ではないと。しかし彼は、あえてそこには踏み込まず、肉を膜の袋にしまってコーラと入れ替え、それを飲むと再び肉といれかえ、食事を続けた。そして早くも、彼は一箱を食べ終えてそうな勢いで、二箱、三箱目もいつもどおり平らげてしまうだろう。
「でも、ありがとなノガード——んふぅー」
「お前、少しは節制しないと、そのうち動けなくなるぞ?」
「どうせここから出られないんなら、同じじゃないか。それとさ、悪いんだがまた追加を頼みたいんだが」
「全く、四箱も食うバカがいるかよ」
「どうせお前も、そんだけ食ってるくせに」
「俺はな、こういう風にして毎日の筋トレはかかさない。だけどお前は、一日中座りっぱなしだろ」
「座りっぱなしだから、やることもないんじゃないか。俺にとっては食事だけが唯一の頼みなんだ。だから頼むよ」
ノガードは「全く」と首を横にふりながら、牢屋を出て鍵をしめた。だがルエイソレットには、明日からダンボールが一箱増えることは分かっていた。
ノガードは、他の捕虜達にも食事を与えると、地下からそのまま三階の自室へと戻った。
「ふぅ……ふぅ……」
ダンボールをテーブルに置きながら、彼はそこに手を置き、少し体重をかけて小休憩した。最近、特に階段ではかなり息が切れるようになっていた。そんな必死の階段の上りのせいで、いつの間にかチャックも全部降りてしまっていたが、膨らんだ下半身のおかげでズボンは落ちずに済んでいた。
しかしこの状況においてノガードは、その原因は、ダンボールを五箱も担いでいるせいだとしか、考えていなかった。
軽い休憩を終えると、どすんと、これまた特別に家具屋に新調して貰ったソファーに腰を降ろし、ダンボール箱の中身をばくばくと食べ始めた。一箱、二箱と、ノガードは次々にダンボールを空にしていく。1ガロン(約3.8リットル)のコーラも全て飲み干し、彼の体は食事だけでも相当な増量になっていた。
「苦しいな」とノガードは、膨らんだお腹を締め付けるスーツのボタンを外した。これでもう、彼のお腹は自由に膨れたい放題になった。
(おっと、ベルトも外しておかないとな)
そして彼は、三箱、四箱目のダンボール箱も遂に空にしてしまった。朝食にもダンボール四箱分を完食しており、昼までの間で既に80キロもの食事を取っており、彼のお腹は一層膨らんでいた。
しかしそんなこと、今では全く気にせず「うっぷ」とげっぷをもらし、脚を閉じられないほど膨張したお腹を、ノガードは満足そうに摩った。この行為は、彼の癖の一つとなっていた。
その時だった。彼の目に、ふと予備で持ってきたもう一箱のダンボールが目に入った。それはこれからの運動後に食べる、三時どきの間食用に用意したものだった。
しかしそれを一度見てしまったノガードの体には、自然とある欲求が湧き出ていた。
「……もう一箱食うか」
ノガードは、ソファーの肘掛に手を置いてぐぐっと力をいれると、股を広げたまま重々しく立ち上がった。そして、五箱目のダンボールを手前に持って来て、中の肉とコーラを取り出すと、ついにそれを口にしてしまった。
「下からまたダンボールを持ってこないとな」と反省の色もなしに、ノガードは肉を齧り、そしてコーラをがぶがぶと飲んだ。と同時に、もうこのスーツは着れないなと、ボタンなど締め付けるものを全て外したスーツを彼は脱ぎ捨てると、伸縮性のある、普段のラフな下着に着替えた。これで服に締められることなく、限界まで食事を堪能でき、そして食後の運動も動き易いので楽になる。正に一石二鳥だ。
それからノガードは、五箱目を完食し、食後の運動を始めた。ぜえぜえと息を切らしながらも、バーベルを持ち上げたり、腕だけでなく確りと脚も鍛えた。
汗をたっぷりと流し、下着はそのあかしとしてぐっしょりと濡れていた。これでまた、ノガードは三時の間食にとダンボール箱にある食料10キロを食べてしまうだろう。
しかしながら、今日だけは違っていた。間食用のダンボールを空にしたため、再び食料庫まで降りて戻って来たのだが、その彼の腕には、段ボール箱が二箱も担がれていたのだ。
そして彼は、いつもどおりのペースで、それらを全部食べ切ってしまった。だが良く伸びる下着に着替えていたおかげで、服に締め付けられることが殆どなく、一箱分を食べた時とさほど変わらない感覚になっていた。そしていつの間にか、彼には間食=ダンボール二箱という定義で新たに塗りかえられていた。
こうして、順風満帆とも言える日々が流れた。だが一ヵ月後、ついに時の分かれ目がやって来た。