休日なんで、もう欲のままにどんどん書いてやろうと、二つ目も投稿します。この気持ちが続けば、三つ目も書き下ろそうかと思ってます。
というか、なかなかね、アクロを登場させてなかったですから。今日中にはせめてそれをしたいなあなんて考えてます。
それにしても、どうしてこんなに次々に書いてるかといいますと、ぶっちゃけデブにしたネタは結構あるんですよ。ただホムペ上のようにきっちりと書こうとすると、どうしても校正などで時間が必要なんでね——でもここなら、雑でもいいから勢いで書けるんで、そういう手ごろさもブログの良い所ですね。
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「へぇ、ここがアクロの家かぁ……というかフランジュ、お前行ったことがあるのか？」
「いいや、ない。けどアクロはなんてったって有名だったからな、別の友達と一度見に来たんだ」
「なるほど」
　アクロの家は、それはそれは立派なお屋敷でした。確かにフランジュも裕福な家庭ですし、一階建てでもかなり広く——というか大概アニーモでは一階建てなのだが——しかしアクロの家は、三階まであり、広さもフランジュ以上。入り口は大きくて立派な木の門で出来ており、さすがアニーモ随一のコンピュータ会社社長宅と言ったところです。
「なあブローム、大丈夫か？」
「あ、ああ」
「それじゃ、呼び鈴を押すぞ」
　ブロームは少し緊張していました。大人になる前までは敵対し、大人になった今は、それらしい振る舞いが出来るか心配だったのです。彼自身、今でも時折カッとなり易いことを承知していたためでした。
　呼び鈴を鳴らすフランジュ。するとそこに取り付けられたスピーカーから、声が聞こえてきました。
『はい、どちら様で？』
「あの、アクロの同級生なんですが……」と、ここはフランジュが応対します。
『同級生だって!?　アクロに会いに来てくれたのか？』
「は、はい」
　相手の反応に、少しフランジュが戸惑います。それほど珍しいことだったのでしょうか。
『ちょっと待っててくれな。本人に聞いてみる』
　するとスピーカーからは、待機中の軽快な音楽が流れて来ました。
「よかった、アクロはここに今でも住んでるみたいだな」とフランジュ。
「ああ。しかし、多分父親なんだろうが、なんであんなに声を上げたんだ？」
「そんなに嬉しかったんじゃないのか？」
「それほど珍しいことなのか？」
　ブロームの言葉に、フランジュはあることを思い出します。
「……そういえば、考えてみるとアクロって、親密な友達ていたっけ？」
「あんなに人気だったんだ、一人ぐらい絶対いるだろ」
「だけどさ、考えてみると、あいつと普段日常的に会話してるやつなんかいたか？」
　そのフランジュの言葉に、ブロームも考えをめぐらします。
「うーむ……そういえば、休み時間とか、特別相手に何かをいわれない限り、黙々と間食してただけだったような気がする」
「だろう？　もしかして——」
　丁度その時、スピーカーからの音楽が止み、再び先ほどの声が聞こえて来ました。
『もしもし？』
「あ、はい？」とフランジュが慌てて返答します。
『その……申し訳ないんですが、本人があまり会いたくないらしくて』
「何かあったんですか？」
『いや、その……別に、何かあるわけじゃないんですが……』
　ここで、フランジュを押しのけてブロームが口を開きます。
「別に病気とかじゃないんですよね？　それでしたら是非会いたいのですが」
『その……あの、とりあえず、そちらのお名前は？』
「俺はブローム。それでさっきまで話していたのがフランジュです」
『ブローム？』
「そうです」
『……ちょっと待っててください』
　再びスピーカーからは、先ほどと同じ音楽が流れます。
「どうしたんだろう？」フランジュが心配し始めました。
「それに、なんで俺の名前に反応したんだ？」
「さあ……引き篭ったのかな。それで的にされたお前を恐れてるとか」
「な、そんな馬鹿なこと——確かにあの時はそうだったかも知れないが、俺ももう大人だぞ」
　しばらくして、再び声が戻って来ました。
『あの……』
「はい、なんです？」とブローム。
『一つ伺いたいのですが——アニーモ、特にアニモニアは、太っていれっば太っているほど、良いんですよね？』
　ブロームは呆気にとられました。そんな当たり前のような質問を、しかもこんな状況で唐突に尋ねるなんてと。
「そりゃ、勿論そうです。蓄えた脂肪分、ここでは評価があがるんですから」
『わかりました……それじゃあ、その、お入りください』
　交信が途絶えると、目の前の巨大が門が、轟きと軋みをあげながら開き始めました。
「なあブローム、さっきの質問、おかしくないか？」
「ああ。まあアクロの家族は、確かアニーモ出身じゃないって聞くし、きっと昔のお前のような観念があったんじゃないのか？」
　ブロームの説明に、フランジュはある程度は納得します。しかしやはり、流れ的にあの質問には何か深い意味がありそうだと、そこだけは未だに蟠りになっていました。
　扉が開いたので、中に入ると、家までは何百メートルもの幅広な道があり、ブロームはため息をつきました。
「はあ、あそこまで歩くのはしんどいな」
　フランジュも、やはり五年間で体重が倍になったことで、少し疲労感を顔に出しています。
「そうだな——ん、何か向こうからくるぞ？」
　道の先からは、大型の、最低地上高が低いトラックがやって来ました。そのトラックは、二人の横を少し通り過ぎた辺りで停車すると、後部のスロープを降ろし、中から荷台に設えられた座席が現れました。
「お二人さん、さあ乗って」
　しかし二人は、顔を見合わせてしまいました。
「……ああ、申し遅れました。私は、アクロの父です」
「あ、ああこれはどうも。その、それは一体？」
「門から玄関までは遠いですから、いつもここに来客を乗せてるんです」
　なるほどと納得した二人は、早速スロープを登って中へ。荷台は運転先と直接つながっており、そこからアクロの父が話しかけます。
「どうも、この度はアクロに会いにきてくれてありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそわざわざお出迎えを……」とフランジュ。
「実は、アクロに会いに来てくれた同級生は初めてなんです」
「そうなんですか!?　けどアクロは、学校でかなり人気がありましたよ」ブロームがやや眉をひそめながらいいました。
「そう、らしいですね。でもそれだけで、友達はいなかったようです」
　じゃあ、先ほど思ったとおりなんだなと、ブロームとフランジュは分かったように頷きます。
「それで、こんな豪勢なお出迎えをしてくれたんですか？」
「いやいや、これは良くやることですよ。私達はアニーモ出身ではないので細かくは分からないのです。だから太っていると歩くのが大変かなと思い、このような手法をとることにしたんです」
「なるほど。確かにこれは助かりますよ」
「そういって貰えると、やってる甲斐があって嬉しいです。さてと、それでは今から家に向かいますので」
　アクロの父は、幅広な道をうまいことをUターンすると、家へと戻り始めました。そして一分もしないうちに玄関に到着し、二人はスロープを降りて、アクロの父が降りてくるのを待ちました。
「それでは案内しますので、こちらへ……」
　父親は、先立って二人を家の中へ案内します。その表情にはもちろん嬉しさが浮かんでいましたが、半分だけは、何かためらいや戸惑いなどといったものがありました。
「ここがアクロの部屋です。その、あまり苛めたりはしないでください」
「え、なぜです？」とブローム。
「その、アクロから聞いたのですが……ブローム君はこう、ずっと息子を虎視していた聞いて」
「それはその、すみません。当時はアクロが羨ましかったんです。でももう俺は子供じゃないですから、大人としてちゃんと接しますから、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。それでは、中へどうぞ」
　手でノブを示した父親を見て、ブロームがそれに手を掛けます。そしてゆっくりと扉を開け、フランジュとともに中に入りました。