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いっそここまで来たら、一日ひとつの波に自分も乗ってみようかと思いました。でも今日は時間がなくなりそうなので、途中で保存していたものですかそのまま出さないと駄目になっちゃいました(滅

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「おかえりフランジュ」

 雄鷹フランジュの五年ぶりの帰還に、母親が嬉しそうに挨拶をしました。電話で交信はしていたものの、その姿を見るのは本当に五年ぶりだったからです。

「しかもお前、随分と太ったじゃないか」

 父親の言葉は、普通の人から一見すると「大丈夫か?」と心配を表す同義語であるが、ここアニーモではその正反対で、父は大いに喜んでいます。

「いや、そのさ……やっぱり自分、こうでないと駄目らしい」

「はっはっは! それでこそ我が一家、私は嬉しいよ」

 その褒め言葉に、息子のフランジュは少々赤面しました。何せ友人の雄蜥蜴ブロームも一緒だったからです。

「そういえば、隣にいるのは? お前の知り合いか?」

 フランジュは頷きました。

「前に教えたかも知れないけど、友達のブロームだよ」

「ああブロームか! 話に聞いてるぞ——確かに頑張ってガバージュしたように、見事なでかっぱらだ」

「ありがとうございます」とブロームは軽く頭を下げました。フランジュの父親も相当に太っていて、自慢の太鼓腹が服の下からアピールしているようですが、ブロームと比べるとそれほどでもなく感じます。そのせいか、父はブロームを誇りに思ってるようです。

「やっぱり同族がここまで太ってくれると嬉しいものだな。今何キロなんだ?」

「先週量った時は三二〇キロでした」

「素晴らしい。私なんか、今でも食事は多めに取っているのだが、それでも二〇〇キロちょいさ。話に聞くと君は、小さい頃に父親を亡くしてるんだってな? そんな失意を味わい、家計もさぞ苦しかっただろう中で、良くぞそこまでいった!」

 ブロームも、フランジュの父が放つ賞賛の猛攻に、顔を赤らめずにはいられませんでした。

「でも逆に言えば、そのおかげで俺はここまで太れたんだと思います。いわゆるハングリー精神ってやつですね」

「なるほどな。だが正直、私達にとってハングリーは天敵だがな」

 二人は大笑いし、つられて周りのフランジュとその母も笑います。そして母が、こう言いました。

「さてと、とりあえず家の中に入らない? 立ちっ放しはつらいでしょう?」

「おおっとそうだな。早くしないと疲れて体が痩せちまう」

 そんなフランジュの父親に、辺りは爆笑の渦に包まれながら彼の家の中へと入った。

「そういえば、ここにはフランジュの姉のカーシェがいるんですよね?」

「ああそうだ。それはもう、フランジュがいない間に立派に太ってくれたよ」

「どれくらいにまでなった? もしかして寝たきりになってたりして」とフランジュが、面白そうに尋ねます。姉に関しても、どうやら完全に偏見は捨て去ったようです。

「はっは、それはどうかな? とりあえず二人で見てきたらどうだ」

 フランジュは頷き、ブロームを自室へと案内しました。

「くっちゃくっちゃくっちゃ……げふう、さすがにもうお腹いっぱいだわ。ねえお父さ——」

 カーシェの目には、父ではなく、弟の鷹のフランジュと、同じ蜥蜴の雄が映っていました。

「あらフランジュ! 久しぶりね」

「久しぶり姉さん。それにしても随分と太ったね。だけど服ぐらいは着てよ」

「いやよ面倒くさい。この下着だって、お母さんがいないとはけないんだもの」

 確かに、とフランジュは思いました。姉のカーシェは、二人用のベッドから足を下ろして座っているのですが、その足は大きく開脚し、その間にだっぷんだっぷんなお腹が地面に垂れ下がっていたのです。腕を載せている脇腹も、膨らみ過ぎて、これまた横に大きく膨らんだ太腿にのっかっているほどです。もはや彼女のお腹は、どこが蛇腹の境目なの検討も付きません。

 更に、蜥蜴独特の尻尾は、なんとフランジュの胴回りと同じくらいぶっとく、それを彼女は背凭れにしていました。

 そして何より彼女言ったのが分かるように、勿論下に穿く肌着もそうですが、下着を着れないのが一人できれないのは一目瞭然——何せ彼女の腕は、二の腕に巨大水嚢のようなものが引っ付いているようになり、肘でいったん節目として、フランジュの首周りほどに細くはなっても、前腕でまたもや風船のように膨らんで、もはや脂肪と脂肪の小競り合いが、体のあちこちで起きていたからです。

 つまりは、彼女の腕はお腹どころか、胸の先にすら届かないのです。勿論背中には届くはずもなく、耳の手前で腕がお肉に引っかかってしまいます。

「でもさあ姉さん、さすがに名前は言わないけど、下着と肌着だけってのは、友人の前では恥ずかしいなぁ」

「そういってもあんた、案外そうでもないって感じじゃない。……なんだか昔と変わったわね」

「ああ。自分は分かったんだ。やっぱりここが一番なんだって」

「そりゃそうよ! 当然のことなのに、あんたってずーっとそれを分かってなかったんだから——でもようやく分かったのね。お姉さんも嬉しいわ」

 すると彼女は、弟の隣にいる同族の異性を見詰めた。

「あなたは?」

「ああ、俺はフランジュの友達で、ブロームって言うんだ」

「ブローム! フランジュがいつも言ってたわよ、ガバージュに必死になって太ったって。確かに、私の父よりも体が大きくて——すんごく素敵だわ」

 同じ種族であるせいか、彼女はブロームに大きな好意を示しています。ブロームもブロームで、豊満でグラマラスな彼女の肉体が露になっていることで、かなり胸が高鳴っているようです。

 二人の間は、一気に急接近。フランジュはこの時、ようやく姉さんにも花婿が出来るのかなと思いつつ、タメの友人が義兄になる事に、少々戸惑いを覚え始めました。それほどまでに、カーシェとブロームは数時間で親密な関係になったのです。


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