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 初試し書き。前々からこのネタ使いたかったんですよね。ついでにちょっといつもと言葉遣いかえて見ました。

 それにしても、前もって独り言も言ってみますが、本当にブログは良いって思い始めました。一時間もかけずに淡々と小説を気軽に書けるってのは、本当に助かります。本来なら色々と直そうなんていう気持ちがあったりして、なかなか文が書き進められないんですが、ここだとその心配がなくてマジで楽だわ〜

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 とある貧しい一つの国がありました。そこでは貧しさゆえ、住民たちの体はみんな痩せ細っています。

 そんな国だからこそ、独特の文化がありました。それはガバージュ。訳すなら「強制肥満化」。

 貧しいこの国では、太っていることは即ち富の証。なので親達は、出来る限り自分が裕福であることを誇示するため、自分の子供達を無理矢理太らせているのです。

 だが不思議と、子供達はそれを嫌がってはいません。もはやガバージュという言葉が出来るほどの伝統を誇るその偉大さは、子供達にも自然と教え込まれていたからです。

 しかしながらそれも、時代の進歩と共に、変化が起きていきます。

「さてみなさん、今日からは夏休みです。宿題は各先生から教えられたかと思いますので、確りとやるように」

 そして先生が、最後にこう締め括りました。

「それと一つ、注意点があります。恐らくここにいる全員はガバージュという言葉を知っているでしょうし、既に受けている人達もいるでしょう。しかしながらそれは、最近危険だと国から中止命令が出ています。なのでもし、母親からそのようなことを受けている場合は、極力それを避けるか、もしくは学校側に報告してください」

 すると意外や意外。多くの生徒達が、それについてブーイングしたのです。如何にガバージュが浸透しているかが分かります。

「なんでガバージュはダメなんですか?」

「それはですね、それによって亡くなる方がいるからです。まだ子供である君たちには将来があります。その将来がある内に亡くなってしまうのは、とても悲しいことなのです。

 そういうわけで、今回の夏休みは、くれぐれもガバージュに関して自重するように」

「ちぇ、ガバージュが禁止だって、別にいいじゃないかよなぁ?」と、一人の雄蜥蜴が不平をもらしました。彼がそういうだけのことはあり、そのお腹は立派な太鼓腹になっており、独特の蛇腹がぷよんぷよん、歩くたびに揺れています。

 そんな彼の言葉に、友人の鷹がうんうんと頷きます。

「本当だよ。それにさ、禁止されたら俺達、どうやって『あいつ』に勝つんだ?」

「そうそう。普通に飯食ってても、あいつ見たいにはなれないな」

 あいつ、というのは、彼らのクラスでも有名な雄鯱のことでした。確かに鯱は元々体も大きいですし、太ってもいます。

 しかしながら彼の場合、それ以上に周りをライバル視させるものがあったのです。

「あっ、噂をすれば!」

 蜥蜴が、先のオープンカフェを指差しました。するとそこには、ばくばくと三時のおやつを貪る、一人の雄鯱でした。体は異常に大きく、隣のテーブルには鰐や鯨がいて、椅子を一つで事足りるのに、彼だけは、椅子を二幅対にして座っていたのです。

 そんな体の大きさを表すかのように、彼の食べている三時のおやつは、テーブルいっぱいに広がったホットケーキが五層。蜂蜜とバターもべったべたになるほど掛かっており、彼はそれを易々と平らげてしまいました。

「すみませーん、おかわりくださーい」

「はいはーい! ってアクロ、まだ食べるの?」

「うん。だってお腹いっぱいじゃないんだもん」

 アクロという名前の鯱は、大きく膨らんだお腹をぽんぽんと叩きました。鼕々たる音がなり、見事に張ったそのお腹は、明らかに腹いっぱいを超えているようにしか見えません。

 そんな大食いな彼だからこそ、店員が名前を分かるほどこの街では有名なのです。

 しばらくして、先ほどと同量のホットケーキが運ばれてきました。それを見るなりアクロはじゅるりと涎をすすり、再びがつがつとおやつを食べ始めました。

 そんな彼を見つめながら、蜥蜴とその友達の鷹はオープンカフェを通り過ぎて行きました。

「くそ、なんだってあいつはあんなに太れてるんだ」

「しかたないさ、鯱の特性だろ」

「だけどさ、鯨よりかも大きいじゃないか」

「ま、まあな……」

「やっぱりあいつを負かすには、徹底的にガバージュしてもらわないとな」

「あ、ああ。だけどさ、あんまり無理すんなよ」

「どうしてだ?」

 友人の言葉に、思わず蜥蜴は顔を顰めました。

「先生も言ってただろ。ガバージュは危険なんだよ」

「何言ってんだよ。何処でもガバージュはやってるだろ?」

「まあそうだけどさ。俺が言いたいのはつまり、あんまり躍起になるなって事だ」

「ふん、そんな躊躇してたら、あいつにどんどん大差をつけられちまう」

 意気込む蜥蜴とは裏腹に、鷹ははぁーっと溜め息をもらします。

「……まあ、体には最低限気をつけろよな。壊したら元も子もないぞ」

「分かってるって」

 そして蜥蜴と鷹は分かれました。

 鷹は自宅に着くと、家の中に入ります。

「よっ、おかえり」

「ただいま、父さん」

 しかし出迎えて来たのは、相撲取りのように腕を脇腹に持ち上げられる蜥蜴族でした。

 実は鷹の両親は、幼い頃に他界していたのです。なので彼は、この蜥蜴家族の養子として迎えいれられたのです。

「丁度三時のおやつが出来たところだ。みんなで食べようか」

「あ、う、うん……」と、鷹はあまり乗り気ではありませんでした。

 少しして、恰幅の良い雌蜥蜴が、山ほどのケーキとドーナッツを携え、リビングにやってきました。それにあわせて父親と鷹も、テーブルに座ります。

「カーシェ、出来たわよ!」

 母親が、誰かの名前を呼びました。すると奥から、のし、のしと、重々しい足取りが聞こえてきました。

「わぁ、美味しそう!」

 そういって現れたのは、この両親の娘カーシェで、鷹よりも二歳年上の、高校生に当たる雌蜥蜴でした。

 だがそんな年齢でありながら、体は脅威に変貌していたのです。腕やお腹、脚、あらゆる部位に極限まで肉付いたように、何重にも脂肪の渓谷が出来ていて、そんな重みに耐えられなくなった腹部は、重力に負けて膝下までだらりと垂れ下がっていました。

 鷹は、そんな姉の体今尚膨らみ続けていることに、恐怖を覚えていました。何故なら彼女は、その太り過ぎた体ゆえ、歩くときは体を左右に揺すって、息も荒々しくなっていて、その内動けなくなってしまうのではと思っていたからです。

 しかしながら、ガバージュされて肥えた娘は、本来結婚したあと家に閉じこもり、成人になったあとでもどんどんと太り、豊満さを保つのが雌に課せられた役目なのです。だけどそれはとうの昔の話で、徐々に生活が裕福になればなるほど、その体は際限なく大きくなり、昔とは違う障壁が出てくるのです。

 今や、貧困という言葉が珍しくなりつつあるこの国。特に鷹が住む蜥蜴家族の家は本当に裕福であり、そんな中ではきっと鷹の姉は、その壁にぶつかるに違いありません。それを、鷹は日に日に恐れていたのです。


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