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by Delta in 2006-6-23

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~ 登場竜物&用語集 ~

 

クウ ― 「空」より由来。15歳の男竜……ただし精神年齢は10歳以下(爆

   服装も子供染みていて、言葉もやや幼稚気味

 

ライ ― 「雷」より由来。19歳の男竜……クウの従兄弟で、スイのことを片思い

   服装はツナギを愛用していて、ずんぐり体系の彼にはぴったりである

 

スイ ― 「水」より由来。19歳の女竜……ライと知り合ってから徐々に太り始めた

   スリム時はワンピース等の服装だったが、太ってからはジャージが殆ど

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        やってくる

 

        ラウンより

 

    依頼された仕事をこなすため

 

      彼らは、やってくる

 

 

 

       そう、彼らは…

 

 

 

   ―― ファットバスターズ! ――

 

 

 

ファットバスターズ、それは二匹の男竜と一匹の女竜からなる仕事屋だ

彼らの仕事は週最低5回はやってくる

それらの仕事を100%こなす信頼性から

一見ただの太竜集団をここまで成長させた……色んな意味で

そして今日も、彼らには仕事の依頼がやってくる

 

 ―― ファットバスターズ様へ

    ワシはネガトという者じゃ

    ワシは今年で傘寿を迎えたという年じゃから

    どうも家の事はあまり出来ないのじゃ

    そして最近になり、家の電球が切れてしもうてな

    その電球を全部取り替えて欲しいのじゃ

    その序でに、掃除等の仕事もしてくれると有難いのじゃが……

     〒○○―○○○ ××州△△市□□―□□―□□ ――

 

「今日は電球の取替えと掃除か、楽勝だね♪」

「あぁ、こういった楽な仕事で飯が食えると最高なんだがな」

「そうねぇ。ま、たまにこういうのがあるからいいんじゃない」

「じゃあ、もうちゃっちゃと仕事済ませちゃおうよ! 今日はのんびり出来そうだし!」

「そうだな。よし、今日は早めに仕事を終わらせるか!」

「そうと決まったら、早速行動開始ね!」

 

 

「悪いねぇ……本当に助かるわい」

「いえいえ、これが仕事屋の役割ですから♪」

「……そろそろ終わりね。そっちはどう、ライ、クウ?」

「物置の片付けと粗大ゴミは捨てて来たぜ」

「僕の方はもう終わったよぉ~」

「そう、じゃちょっと待ってて、ここの電球を取り替えれば……よし。これにて仕事は終了!」

「わ~い!」

「ありがたやありがたや。それで報酬のことなんじゃが――」

「あ、そのことね。安心して、仕方がないわよ」

「何の話だ?」

「まぁネガトさんにも色々あるわけで……それで今回の報酬は食事だけということになったの」

「あ、それなら良かった! まさか食事を抜かれるのかと思ったぜ!」

「僕達食事抜かれちゃったら、どうしようも無くなっちゃうもんね~」

「それじゃ安心したわい。貴方達なら食事だけでも許してもらえるかと思ったんじゃ」

「ははは、それはそうね。報酬を食事だけに出来るのは私達だけだろうしね」

「というより、報酬に食事を入れてるのが俺達だけだと思うぜ」

「だけど、それが僕達ファットバスターズの特徴なんだよね♪」

「ありがたや……それでは早速食事の準備をさせて頂くわい」

「わ~い♪」

 

 

「ふぅ、食った食った……お金が出せない代わりとはいっても、あんなに食事を出してもらえるなんて最高だ!」

「久々にここまで食べたわ、もう限界よ」

「僕もお腹いっぱ~い。服のボタンが閉まらなくなっちゃったよぉ(汗」

「それは食い過ぎだ! 一番年下のくせに、お前が一番食ってただろ!?」

「だってあんなに美味しいの久々なんだもん!」

「確かに。あの美味しさは他の追随を許さない程だったもの、ね?」

「まあな、あれだったら正直腹12分目まで食いたいな」

「じゃあ僕は腹13分目まで食べるよ!」

「あ、言ったなぁ! じゃあ俺は14分目!」

「私は15分目行けるわよ」

「なら16分目!」

「17だ!」

「18!」

「19!」

「20!」

……

この話は結局、家に着くまで続いた

 

 

「……あれ? なんか仕事の依頼が来てるよ」

「本当だ、仕事終わってのんびり出来ると思ったんだけどな」

「仕方がないじゃない。で、内容は?」

「えーっと――」

 

 ―― ファットバスターズ殿

    いきなりで申し訳無いが

    ヴィタ遺跡にて、壷を探しに行った探索隊が行方不明になった

    そこで、その探索隊を見つけ出して欲しい

    礼は何でも聞くので、宜しく頼む! ――

 

「――だってさ、どうする?」

「う~む、まあ何でも聞くって言うんだから、何でも聞くんだろうな」

「じゃあその言葉を信じて、このまま行っちゃう?」

「そうだな、やるだけやってみるか」

「じゃあ早速準備ね!」

「おう!」

「了解♪ (^^ゝ」

 

 

ようやくファットバスターズは遺跡へと辿り着いた

そして彼らは、遭難した探索隊を探すため、奥へと進んでいった

「はぁ……はぁ……」

「つ、疲れたぁよぉ~」

「ひっさびさにこんなに動いたからな」

「全く……一体何処にいるのかしら?」

「さぁな。あー! ちょっと休憩しようぜ、休憩!」

「そうね、少し休憩しましょうか」

「ふぅ……よっと」

クウが壁に寄りかかった瞬間だった

(ギシ――ずだだだだ!)

「う、うわぁぁああ!!!」

「な……クウ!」

「……大丈夫?」

「う、うん。なんとか、大丈夫……だけどこれって……」

「お前が重すぎるから、寄りかかった時に壁が崩れたんだな」

「そうね、クウが一番太ってるからそうかもね」

「ひどーい! 僕はそんなに太ってないよ!」

「1.5tもあれば十分だろ」

「だけどライ兄さんは1.3tだから、そんなに変わらないじゃん!」

「俺は筋肉が付いてるからその分重いんだ! お前の場合はどうせ、ただのお肉だけだろ?」

「うわーん、兄さんひどいよー!(T T」

「はいはい話は終わり。どうやら崩れた先に道があるみたいだから、早速進んでみましょう」

「あ、おい、ちょっと待てよ!」

「待ってよぉ~!」

 

 

奥に進むと、徐々に幅が狭くなっていった

「……ーぃ」

「?? 今何か聞こえなかったか?」

「……そう? 私には聞こえなかったけど……」

「……ぉーい!」

「――声だ!」

 

 

「いやぁ助かったよ、ありがとう!」

「いえいえ、私達は仕事を依頼されただけですから」

「それにしても……どうしてこんなところに?」

「実は罠にかかってしまったらしく、扉が開かなくなってしまったんだよ」

「……なるほどな、確かに扉は開かないな」

「ライの力でも無理なら、そりゃ開くわけ無いわね」

「お褒めありがとさん、スイ」

「……ねぇ、これって何かな? 壷のようなものが出てきたよぉ?」

「えっ、壷?」

「うん。ほら見て! 結構土が被っちゃってるけど、どうな――ってぇ~!?」

クウが土を払うと、突然壷から光の点が溢れ出した

徐々にそれらは、一定の形へと収束していき、最終的には謎の生命体の形となった

「……私を眠りから起こしてくれてありがとう」

謎の生命体はそう言った。すると探索隊の一人が驚きの声を発した

「こ、これは伝説の壷じゃないか!?」

「伝説の壷? なんだそりゃ?」

「このヴィタ遺跡に眠る秘宝で、眠りを起こした者の願いを一つ叶えてくれると言うものだ。

実は私達、それを探してここまで来たのです」

「そうなの。でもまさかそれをクウが見つけちゃうなんて……何だか悪いわ」

「気にしなくても結構ですよ、私達を助けてくれたのですから。その壷は貴方方にお渡し致します」

「……では早速、お前の望みを一つ叶えてやろう。何が良い?」

「えっ、ぼ、僕?」

「……そうだ、お前だ」

「じゃあ――」

 

 ―― ご飯をお腹いっぱい食べたい! ――

 

「……は?」

「だ・か・ら、ご飯をお腹いっぱい食べたい! あ、ちなみになんだけど、出来れば肉とお菓子がいいな!」

「お! クウ、良く分かってんじゃねぇか! その組み合わせが最高なんだよな!」

「そうね、さすが私達の弟子だわ」

「……え、っと、そ、それが望み、ですか?」

「うん! えっと、それで、お腹いっぱい、限界まで食べたいから、えーっと……。

僕は300kg、いや、こうなったら350kg食べる!」

「じゃあ俺は400kg!」

「あんたじゃ無理よ、精々300kgにしなさい。あっ、ちなみに私は200kgでお願い!」

「……え、あの、その――」

「じゃあ合計で……。もう面倒だから1000kgでお願い!」

(……もしかして、この望みが今までの中で一番、ある意味辛いのかもしれない(汗)

「……了解した……。その願い、叶えてやろう」

 

 

「な、なぁ……ちょっと無理、し過ぎたんじゃないか?」

「そ、そうね……。さすがにこの量は無謀過ぎたわ」

「……まずいな、食べ過ぎて動けないや……」

パンパンになったお腹を摩りながら、ライは言った

「えー、そんなこと無いけどなぁ? あ、謎の生き物さん! おかわり出来る?」

「……その、そろそろやめた方がいいのでは……?」

「僕もっと食べたい! 久々にこんなに食べれるんだもの! もっと頂戴!」

「……はい……」

 

 

既に探索隊は、遺跡から出て、我が家へと戻っていることだろう

だがファットバスターズは、未だに食に専念していた

 

 

「……う~、お願いだから、もう食べるのをやめて~!(泣」

「やだ! もっと食べる!」

「なんだか限界超えたら、逆にどんどん入るな!」

「これはいけるわね、私も追加お願いね!」

「ひ~!! もう嫌だ~!! 誰かこの竜達を止めてーー!!!!」

「ほら早く! 望みを叶えてくれるんでしょ!」

「……」

「早く!」

「…………もう分かった! とことん食べてればいいだろ! ほらどうぞ!!」

「そうそう! じゃ、いっただっきま~す♪」

「うっぷ……つなぎがきついな、面倒だから脱いじまうか」

「私も、服はもう脱いじゃいましょ」

「あ、謎の生き物さん! お願いなんだけど、ちょっと起こして! お腹が邪魔で起きあがれないの!」

(なんで、なんでこんな奴に捕まってしまったんだろうか?

こんなにぶくぶく太っていって、今では会った時よりも体が倍にもなってるじゃないか!

こいつらは一体何者なんだ? こいつら、純情じゃない!)

「早く起こして~! 起きあがれないよぉ~」

「……ん、うぐぐぐぅううう!!」

「ふぅ、やっと起きあがれた、ありがとう♪」

「……はい……どういたしまして……」

 

 

その後、ファットバスターズを見た者は誰一人としていない

ヴィタ遺跡は、探索隊が出た後すぐに、小さな地震の揺れのせいで入り口が塞がれてしまった

その為ファットバスターズは、皆亡くなったと言われ、今では彼らは伝説の仕事屋として、街中に名を残し続けている

 

 

 

(お願いだから……もう、食べるのをやめてくれ……うぅ……)

 

 

 

The End...


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