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シャーカン M 普通 私 船長ヴィロック Veloc

ホエリアン F 普通 わたし 操作者レンズ Lens

ドルフィニアン M 太い 俺 船員アーニー Earny

オルカン F 細い 自分 船員パル Pal

以下メモ

風化 1,0000年に0.1mm〜45mm 100,0000/m


「そういえば、久しぶりに泳ぐな」

「そうですね船長。ここしばらくは、惑星にも寄らずずっと宇宙をさまよってましたものね」

 ヴィロックとレンズは、衣服を脱ぎ、そして湖に飛び込んだ。全身にまとわりつく水の感触がとても懐かしく、更にヴィロックは、湖底へと泳ぎながら言った。

「そういや、ホエリアン特有の鯨畝(=くじらうね)を見るのも久々だな」

「変な目で見ないでくださいね」

「はは、分かってるって」 

 そして二人は、深く、深く底へと向かった。

 しばらくして、海底と思しき場所に出た。だが360度見渡すと、突如開けた場所となり、どこも延々と遠く、なんの障害物もない水中での景色が広がっていた。

「これは……まさか、浮き島なのか?」

「で、でも、こんな大きいの、見た事がないです。ここは潮流で風化されたりなんかして、どこかはちゃんと海底と繋がっているのでは?」

「だが、ここまで風化されたとなると、海が出来てから、十億年近く経っていることになるぞ」

「それでは、これは……」

「分からない。巨大な浮き島だろうと風化であろうと、これはとにかく、大発見に間違いない」

「奥に進んで見ますか?」

「ああ。そうしよう」

 二人は、大陸の下を泳ぎ始めた。しかしいけどもいけども、先端は見えず、左右を見ても、大陸と海底とか繋がる場所は金輪際見つからなかった。もしかしたら本当に、先ほどまでいた地上は浮き島だったのかも知れない——だがそれほど巨大なものは、これまで観測されたことは一度もない。

「……船長。あれは、なんでしょうか」

 レンズが指差した場所を、ヴィロックも見た。するとそこには、再び底へと繋がる道が見つかった。だがそれは、奇麗な円を描いた、直径1キロほどの穴だったのだ。奇しくも、湖と同じ直径であり、明らかに人工的であった。

「入って見るか」

「大丈夫でしょうか?」

「行くしかないだろ。この惑星には何があるのか、調べようじゃないか」

 好奇心を剥き出しに、ヴィロックは躊躇なくその穴に入って行った。レンズも、そのあとを追った。

 地上では、アーニーとパルが、大気圏辺りに飛ばした観察機器からの映像を処理し、この惑星の地表図を作っていた。

「なあパル。ちょっと飯食ってくるわ」

「あんた、まだ昼まで半分しか経ってないわよ。それに限りある食料なんだからね」

「いいじゃないか」とアーニーは、気にすることなく、プレハブに入ってしまった。パルはやれやれと思いながら、再びコンピュータに目を移した。すると丁度、映像処理が終わり、地表図が完成するところだった。

「……いやだ、何よこれ」

 呆然とするパル。すると少しして、アーニーがプレハブから戻って来た。海洋族一人前の弁当を食べながらで、彼は口をもごもごさせながら「どうした」と彼女の様子を窺った。

「見てよアーニー。自分、こんな惑星初めてだったわ」

 パルに促され、アーニーもコンピュータの画面を見た。すると思わず、大食家の彼も食事の手を休めてしまった。

「海が、ないのか?」

「ええ。あるのは、この湖だけ——それに……」

 コンピュータに映し出された3Dの惑星地表図。そこに示されたのは緑一色で、その中にちょこんと、湖を示す青色

の円が投影されていた。

 丁度その時だ。湖から、ざぱんと誰かが浮かんでくる音が聞こえた。見るとヴィロックとレンズで、かなり嬉しそうな顔をしている。そして真っ先にヴィロックが、二人に言った。

「おい、大発見だぞ! 今すぐ来てくれ!」

「船長! こっちも大発見ですよ」とアーニーも、既に弁当を半分平らげたところでそれを脇に置いていた。

「なんだ?」ヴィロックが、彼の示すコンピュータを眺めた。

「……おい、これ、バグとかじゃないよな?」

「はい。これが、この惑星の地表図です」とパル。

「なるほど。でもその理由も、今に分かるかも知れないわ」

 レンズが言うと、アーニーとパルが彼女を見つめた。

「とにかく、船長のいうとおり、一緒に来て頂戴」

 二人は手早く衣服を脱ぐと、真ん丸いお腹を出すアーニーと逆に細い体を曝け出したパルは、ヴィロックとレンズに続いて湖の中に飛び込んだ。


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