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体調崩してからぐっすりと眠るようになり、久々に連続で夢見られるようになりました。しかも中には太膨ネタも混じっていたため嬉しい一時。

でも風邪引き易い秋だからと言っても、体を悪くはしたくないものですね。食事量も以前より断然減っちゃったし、まあガーヴァンディぐらいとは言いませんが、それなりに食べれるようにはなりたいです。


♂ ガーヴァンディ Garvandy

 

♂ ハパッソ Hapasso

 

♀ ドーガン フレイア Flair

 

♂ シャーカン パブレーン Publane

 

 

 


    賞品:世界一周旅行也 5

 

 

 ハパッソと別れたあと、俺は自宅にフレイアを招いて帰宅した。実は彼女、家が俺のと数キロの距離にあったというから驚きだ。こんなに身近なのに、住んでる世界が違かったというのは、如何に俺の世界が極限られた範囲だったのかを物語らせた。

 自宅のソファーに早速座った俺。すると今までにないほどソファーが沈み込み、自身の重さが改めて実感された。

「ねぇ、これからどうするの?」フレイアが聞いた。

「そうだな、もうボディービルダーじゃねーし、どうっすか」と俺は背凭れに両腕を広げた。視線を下げ、この体で今後どうすれば良いのか、ボディービル一筋で生きてきた俺には考え付かなかった。寧ろ俺より幅広い世間並みを知ってる彼女の方が詳しいのではないか?

「フレイア、お前はどうして欲しい?」

「そうねぇ……出来たらまた、世界旅行に行けたら嬉しいわ」

「世界旅行か。俺も行けたら良いとは思うが、そんな簡単に手に入る代物じゃねえよな」

「でも大会に出れば、景品で貰えるんじゃない?」

「大会? この腹じゃもう以前の大会には出れねーぞ?」

「他の大会を探せば良いじゃない。きっと何かあるわよ」

「だが俺が優勝出来そうなものなんてあるのか?」

「うーん……」

 フレイアは顎に手を当てながら、俺の腹を熟視した。

「今のガーヴァンディなら、早食い大会とかが行けそうね」

「は、早食い大会?」

 俺はキョトンとしたが、彼女は至って真剣だ。

「だってあなた、あのパブレーンよりも早食いだったじゃない」

「むっ、そうだったか?」

 彼女の真実に驚いた俺だが、話を聞いて見ると確かに納得は出来た。いつもパブレーンが先にレストランに居て、食べ終わりはいつも同じ。食べる量も最終的には、かなり拮抗しかけていた。

 自身のお腹を改めて見る俺。座ってみると、もはや下半身が何も見えないどころか、手前にある膝丈のテーブルの脚すら見えない。こんな俺には、フレイアの案が彼女を喜ばせる最善の手段に違いない——いや、絶対そうだ。食べる大会に出れば、俺の腹は益々成長を遂げる。それが何よりの彼女の望みであるんだから、これは一石二鳥ではないか。

「良し、その大会を探して見るか」

 

 

 その後俺は、世界旅行で癖になった間食をしつつ、フレイアと共に周辺の大会を調査した。すると想像以上に食に関する大会があることを知った。俺は不思議とこの作業にいつしかのめり込み、間食も進んだ。チラシなどでも、このようにして色んな世界を知れるとは思っても見なかった。

 それから俺達は、早食いで且つ景品が世界旅行の大会をなんと2つも発見した。俺は虱潰しに、一番早い4ヶ月後に迫ったそれに挑戦することにした。

 その大会当日、現実は一見厳しかった。初会場に向かうと、そこにはパブレーンのような超巨漢参加者らがゴロゴロいたのだ。だがそれに混じり、俺のような立派な体つきの者もいれば、華奢な体の奴もいた。そしてなんと、優勝はその後者が獲得したのだ。それを間近で見た俺は、優勝への希望を見出した。しかも初出場にして俺は、なんと盛者達の中で4位という好成績を残したのだ。

 そんな大会後の帰りの俺に、フレイアがこうアドバイスした。

「あとはもうちょっと、胃袋が大きかったらいけそうね」

「そうなのか? てことは1位との差は、それほど離れてはなかったってことか」

「えぇ。特に序盤は良い感じで張り合っていたわ。ただ途中でガーヴァンディが苦しくなってからは、少しずつ差が開いてはいったけど、でもそれは終盤だったからね」

 なるほどと頷き、そしてこの日から俺は、次の大会までの2ヶ月間、みっちりと胃を広げるトレーニングを行なった。

 

 

 

 

 早食い大会が始まった。苦悶を伴わせつつ必死に胃袋拡張トレーニングを行なった俺は、脇腹に窪みが出来、仰向けになると先が全く見えないほどお腹を成長させていた。ウェストも世界旅行前と比べ3倍にもなり、日毎にフレイアのタッチ回数も増え、俺は勝機を確信した自信で一つ目の巨大ハンバーガーにかぶりついた。

 制限時間は5分。残り2分となっても、俺はまるでスナック菓子でも摘んでいるように腹が平常だった。

「ガーヴァンディ、その調子よ!」

 フレイアが叫ぶ。俺は目一杯口を広げ、出場者の誰よりも大きな口で目の前の特大ハンバーガーを頬張る。ぶちゅりと溢れるソースはこの大会においてなんの意味もない。周りも俺も、それらは床か、でかっ腹の者は自身の腹の上に落ちる。俺は勿論後者だ。

 フレイアの黄色い声援が、再び谺した。

「やったわ! 遂に抜かしたわよ!」

 残り1分。まるで二次曲線のように、唐突に胃袋が苦しくなり始めた。しかし俺は、どんなに苦しくともそれを我慢し続けた。その精神を可能としたのは、ボディービルの大会での経験であった。まさかここにそれが活かされようとは、誰が想像出来ただろう。

「——んぐっ……あと、あと一口!」

 最後のハンバーガーの欠片を飲み込んだその瞬間、終了の鐘が辺りに鳴り響いた。

 

 

「やったわねガーヴァンディ!」

 控え室から出てきた俺に駆け寄るフレイア。

「げふぅ! あ、ああ……」

 苦しそうにお腹を摩る俺を見て、彼女も優しく俺の腹を撫でた。

「これでまた、世界旅行に行けるわね」

「だな——うぅっぷ! 悪ぃ」

「随分と食べたものね。それも私のために」

「ふっ、当然さ。お前の為に俺は居るようなもんだからな」

「……ガーヴァンディ、ありがと」

 するとフレイアは、矢庭に俺の頬に“御褒美”をした。刹那さっきまでの超越した腹部の充満感を押しのけ、全く別の感覚が俺の心を支配した。

 恥ずかしい、たったこれっぽっちで顔を赤らめようとは。表面上は筋肉で屈強でも、中身は脂肪のようにぷよぷよだったってことか。まっ、今の俺は腹が完全に筋肉から脂肪に還元され、どしどしと追加分が上乗せされてるから関係ないか。強健だったのは過去の話。これからはフレイアが望む姿になれればそれで良いんだ。

 

 

 そして俺とフレイアは、早速世界旅行へと再度旅立った。そこでの生活はもはや固定されており、それは一日に二つのトレーニングを行なうことだった。一に筋肉、二にお腹である。

 俺の脚は見る見る筋肉量を増し、腹は瞬く間に脂肪量を増やした。きっと早食いの影響で拍車がかかったのであろう、急激な食欲増加に気づけば俺は、一時間食べ続けてようやく満腹する体になっていた。

 しかしながら、俺の飽く無き進展は、フレイアがいる限り留まることはない。

 

 

    続


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