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自分も触発されて昔を思い起こし、珍しく版権物小説を書いてみました。

実はこの話のネタは前々から妄想してたんですが、如何せん執筆には至らず――でも今思えばこれは見切り発車かも知れません。でもまっ、偶には勢いでやるのも良いですよね。

 

 

それとそうそう、自分はもうこのアニメやゲームからは疎遠なので、正直キャラの範囲が古くて狭いかも知れません。

 

 


 

 

 

    伝説の集い

 

 

 どこか遠くの見知らぬ町。今や単なるモニュメントと化した時計台の上に、誰も立ち入れない石畳の空間があった。そこは時計台内に設置された鐘の音を反響させるためのもので、そこに彼は潜んでいた。

「……ここの夜景は綺麗だ。いつ見ても飽きぬ」

 渺々と広がる窓からの光、これを眺めるのが彼の日課だった。しかし今日は、何やら飛行する物体がそこに影を落としていた。

「ミュー(お久しぶりぃ)!」

「なんだ、ミュウか」

「ミュッミュゥ~(なんだって何よ~)」

 するとミュウは、何やら彼の周囲をぐるりと周り、繁々と体を眺めた。

「ミュウミュ(ミュウツー)、ミュウン(太ってる)!」

「それが、どうしたというのだ?」

「ミューンッミュミュゥー(ダイエットしないと駄目だよー)」

 しかし彼ことミュウツーは、彼女の意見を無視して踵を返し、奥に設えた元は粗大ゴミのソファーに腰掛けようとした。その行動を見た彼女がすかさず言った。

「ミュ(それ)! ミューンッミュミュ(歩く時に能力使っちゃ駄目)、ミュ(それに)……」

 とミュウは、この部屋の家具全てをサイコキネシスで集めたんでしょ、自分の力でやらないと駄目だよと、ミュウツーに対し沢山と注意をした。だが彼は、ソファーに腰掛けたあと、お得意のその技を使い離れた冷蔵庫から夜食のケーキを取り出した。これには生まれた当初から大きな思い入れがあり、ケーキだけはずっと欠かさず食べ続けていた。

 ミュウも、それは知ってはいたが、ここでもこう彼に指摘した。

「ミュッミュンミュミュ(夜食にケーキは駄目)。ミュウン(太るよ)!」

「これは私の心を埋めてくれる、数少ないものなのだ」

「ュー……ミュ(分かった)。ミュウ(でも)、ミュウーンッミュ(食べ過ぎは駄目だよ)!」

 ミュウはそう言い残し、ミュウツーに別れを告げた。

 それから、外の最後の光が消えゆく頃、ミュウツーは思い耽りながら自身の体を見た。

「確かに、ミュウの言うとおりかも知れぬな。ここの所、ずっとここに居座ってばかりだ。そろそろこの町を離れ、別の塒でも探すとするか」

 翌日、ミュウツーは冷蔵庫の中身を空にすると、夜明け前にこの場所を去った。どうやら飛行を行なうのが久しぶりだったのか、体が以前より重く感じた。

 

 

 暫く飛行を続けるミュウツー。地上からは遠く離れているが、そこから彼は人間達の言葉を聞き取る。人前に姿を見せない彼の数少ない情報源である。

「それにしても、聞いたか? なんでも伝説のポケモン達が集う、伝説の集会があるって話を」

「ああ知ってるぞ。なんでも<伝説の集い>とか呼ばれてるらしいな」

「何処で行なわれてるんだろうな。一目でいいからその光景を拝みたいものだ」

「俺も。きっと凄い圧倒感に違いない」

(ふぅむ、そんな話は初めて聞いたぞ。さすらいの私には、情報が行き届かなかったのだろうか)

 長らく、ミュウツーには目標というものがなく、ここに来て彼は、久々に何かして見ようという感情が生まれた。ミュウが助言したダイエットも兼ね、偶には行動を起こすのも悪くない、そう彼は考えた。

 その時から彼は、あらゆる地域に赴き<伝説の集い>に関する情報を集めた。人からだけでなく、直接ポケモン達からも話を聞いた結果、最終的にある結論へと行き着いた。それは人が決して立ち入ることの出来ない、ポケモンの中でも伝説の力を持たないと入れないような、辺鄙で入り組み不可視な所でその集いが開催されているとの事だった。

 ミュウツーは早速、その場所へと向かった。確かに彼でさえそこへ到達するのが至難の業ではあったが、どうにかこうにか辿り着くことが出来た。するとそこはだだっ広い何も無い空間……のように思えたが、ただ一つ、謎の球体が中央に置かれていた。それは光を全く反射しない、不可思議な物体だった。

「それは<ボイド>というものだ」

 突如上空から声が聞こえ、さっとミュウツーは上を見上げた。そこには、確かに伝説のポケモン達が集っており、そして噂通りの凄い圧倒感を見せつけていた。

 

 

    続?


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