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なんだか来てます。とにかく太キャラを書きたい症候群に襲われてます。とにかくいろんな太り方を妄想想像しちゃってます。まあこういうのは大概一日もしない内に治まるのですが、とりあえず今回はその波に乗って起きます(爆


イアート Iaht

アサイリーマ Acirema

雄鯨  コハト     俺

雌海豚 セリズン   私

雄犬  レトワール  自分

雌鷹  ルーパー   あたし

雄蜥蜴 フォッシル  僕


「——でさ、そういうわけで、こいつがそのフォッシル」

「ほほう、随分と華奢な体をしてるんだな」

 コハトとレトワールに言われれば、確かにフォッシルは細身だが、フォッシルからしてみれば、二人は太り過ぎであり、どう答えて良いのか悩んだ。

「そ、そうですね……逆に二人は、とても立派な体付きしてますね」

「ははは、そうだろう?」

 そういってレトワールが、自慢の大太鼓腹をボンと叩いた。

「こいつは太り過ぎなだけだ。俺は鯨だから、固太り程度だぞ」

「は、ははは……」と、フォッシルは苦笑いをもらした。

「そらフォッシル、追加は要らないのか?」

 フォッシルは、今さっき「ペッ・ヤーン」というローストダックを食べたばかりだった。それは普通の一人前で、彼には充分過ぎたが、既にそれをコハトとレトワールは三人分平らげていた。しかもまだまだ余裕と言ったようすだ。

「い、いえ、もうお腹いっぱいですし」

「なあに言ってんだ、食わねえと、最近流行の骨粗鬆症になっちまうぞ?」

 それなら、最近流行のメタボリックシンドロームはどうなんだろうと、フォッシルは首を傾げた。しかしそんなことをしている間に、コハトがウェイターに声をかけていた。

「ペッ・ヤーンを追加で五人前」

「かしこまりました」と、ウェイターは厨房へと向かった。

「あ、あの、僕もう食べれないんですが——」

「とりあえず食えるだけ食っとけ。残りは俺が食うから」

 コハトの言葉に、ただうなずくだけのフォッシル。一応彼はホームステイ先の亭主なわけで、機嫌を損ねさせると、これからの生活がぎくしゃくして、ただでさえここの環境になれないのにそれはまずい。なのでフォッシルは、ある意味必然的に、追加でやってきたペッ・ヤーンを食べざるを得なかった。

 レトワールが笑って食べ、そしてコハトが笑って食べ、そんな中フォッシルも、苦しさを顔に出さないよう懸命に笑みをうかべながら、料理を半人前、どうにか平らげた。総計一.五人前。しかし痩身のフォッシルにとっては、戻してしまいそうなぐらい満腹であった。

 そんな中、再びコハトがウェイターを呼んだ。次はどうなるんだと、フォッシルの背筋は凍った。

「最後に、いつものデザート十個と、ココナッツジュースをピッチャーで二つ」

 ウェイターがすんなりとうなずいた。これはもう彼らにとって定番なのか、恐ろしいことに、ここイアートで定番なのか。

 少しして、テーブルにはバナナ三本分を砂糖煮したものとジュースが運ばれて来た。デザートは、一品が三本と多めなのに、それを十個も頼んでおり、そしてジュースは一リットルのものが二つで二リットル。しかも両方とも激甘なものに、フォッシルの顔は青ざめた。

 その彼に、コハトはためらいなく、バナナの砂糖煮一皿と、そしてピッチャーから注いだココナッツジュース(コップは500mlもある)を、差し出した。

「……どうした、食べないのか? うまいぞー、これを食えば、イアートの料理の虜になっちまうぞ」

「そうそう。自分達はまさに、その典型的な例だな」と笑いながら、レトワールが砂糖煮を食べ始めた。大きな犬の口をあけ、バナナ一本を丸ごと頬張る。そして美味しそうに数回もぐもぐとしたら、そのままあっというまに飲み下す。そして彼は、次のバナナに取りかかり、そのデザート一皿を食べ終えると、ココナッツジュースの入ったコップを半分飲み下す。それをコハトも同じようにして、繰り返した。

 ばくばく、ぐびぐびと、甘ったるいものを飲み食いした彼らの口周りは、砂糖でべっとりとしていた。それでも彼等は気にせず、締めを収めた大腹に、手をバチのようにして音をならさせた。

「げふぅ、うまかったぁ」

「ああ。もうすぐ日暮れだし、丁度よかったな」

 しかしここで、コハトが顔を顰めた。フォッシルのデザートとココナッツジュースが、まだ半分も残っていたのだ。

「どうした、これがまずいのか?」

 するとフォッシルが、慌てた表情で言った。

「い、いえ! そ、その……もう、お腹がいっぱいで……」

「なんだ、もう食えないのか?」

 太っているとは言え、身長も巨大な鯨のコハトの迫力に、フォッシルは心が折れそうになった。実はここに来てから一週間、ずっと残してしまうのが常だった。それでも頑張って食べれたのが、今日の料理はさすがに彼には重すぎた。

 そんな苦悶の表情を浮かべる彼を見てか、コハトは残った料理皿とコップを自分の方に寄せた。

「まっ、まだ一週間しか経ってないからな。今日は俺が食ってやるよ」

「す、すみません……」

「なあに気にするなって。代わりに俺の体が少し太るだけさ」

「ははは、お前がこれ以上太ったら、せっかく誂えてもらったその椅子も使いもんにならなくなるじゃんか」とレトワールが大笑いで言った。確かに今見て見ると、コハトの椅子だけ大きさが違っていたのだ。

「そうなったら、新しく作ってもらえばいいだろ? それが大工の仕事じゃねえか」

「そんなことを言ってたら、その内お前、動けなくなるぞ?」

「何言ってるんだ、俺は鯨だぞ? いざっていう時は海に戻れば良い話だ」

「へへ、そうなるのが楽しみだな」

 レトワールがにやにやとしながら言った。冗談とは言え、本当にそうなりそうなのに、よく笑いながら言えるなとフォッシルは思ったに違いない。

 その間に、コハトは残飯処理を終え、今一度、大きな縞腹を、力士が対戦前に廻しを叩くように、手にスナップをかけたようにボンとならした。

「んじゃ、帰るか」と彼が締めの言葉を言うと、三人はゆっくりと立ち上がり、そしてレトワールと別れを告げた。

 レトワールは、犬族として大き過ぎる体に、巨体を揺するように歩いていたが、コハトは元々の体格のおかげで、手が脇腹に広げられている以外、普通に歩けていた。そしてフォッシルはというと、満腹で苦しすぎて、三人の中で一番、体調の悪そうな動きになっていた。どう考えても、はたから見れば矛盾した光景である。

 そしてコハトは、フォッシルを家に連れて帰ると、談笑の続きをしながら、夕食ができるまでドライフルーツを貪った。そんな中でもフォッシルは、しっかりとセリズンの手伝いをしながらだったので、夫婦共々にバランスよく好感度を持たれており、特別問題も起きず、フォッシルは段々と、このイアートの生活環境になれていった——ただそれは、同時に体型においても、イアートに順応しているのであった。


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