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グレース・タウン Grace Town

ノガード Nogard

  男 竜 筋肉質 俺

フロウ Flow

  男 狼 痩せ→痩せ気味 俺

タール Tar

  女 鼠 ふっくら 私

ドレイジル Drazil

  男 蜥蜴 痩せ→痩せ気味 自分

ニプロッド Nihplod

  女 海豚 痩せ→痩せ気味 あたし

タブ Tab

  男 蝙蝠 痩せ→痩せ気味 俺

イザーラ Izara

  男の子 蜥蜴+鼠 僕

ルエイソレット Ruasoretp

  男 翼竜 俺 筋肉質 → ???


 ノガードの作戦は、完璧だった。そしてそれが成せるのも、彼自身の日々の鍛練のおかげである。

 彼は今、北部ボスの古びた木造の家の二階に来ていた。この家は二階建てと階層は少ないが、その分かなり広く、今いるところと入り口までは五十メートルも離れていた。だが耳を澄ますと、そんな遠くからは騒がしい音が聞こえていた。

「あいつら、やってくれたようだな」

 ノガードの手下、フロウとドレイジルは、体が昔より脹よかになったとは言え、昔より栄養とたっぷり取れたため、寧ろ体力がついて俊敏さが増していた。そんな彼らの特徴を活かし、彼らには入り口付近でちょっとした騒ぎを起こしてもらっていた。しかし攻撃は一切しない——これも、ノガードの命令によるものであった。

 だがそれだけでは、まだこの家に住む護衛達を誘き出すのには不十分である。そこで、夜の世界と交わるタブが、静かにこの家の上空を飛び、入り口からは離れた位置で騒ぎを起こさせた。こうすることで、何人かの反逆者達が、屋内に侵入して先へ進んだと思わせたのだ。それもこれも、この家がぼろであるがゆえに、上空からでも建物内に容易く攻撃をしかけることが出来たからである。

 そして何より、ノガードは西部、東部とあらゆるボスを倒すために得た情報から見出した、ある一つの盲点——空がそれを大きく可能にしていた。

 実はこの更生施設内に住む者達に、翼を持つものが少ないのだ。いたとしても、それは虐げられる弱者たちが殆どである。またそのことで、ノガードのように逞しく、且つ空中を舞うことが出来た翼竜のルエイソレットは、頂点までなりあがれたのだ。彼はそれを利用して、今のノガードのように、片っ端から小さな不良グループを痛めつけ、気に入ったやつを自分の部下にしたのである。つまりこのグレース・タウンでは、空を支配するものが陸を支配すると言っても過言ではない環境なのである。

 残念ながら、ノガードは力を求めすぎたゆえに、体が重くなり空はまともに飛べない。滑空程度は出来るだろうが、重みで翼の梁がかなり痛むようで、本人は好まない。その分、自慢の体でここまで上り詰めたのである。

 そんなノガードは今、ひとけのなくなった廊下を歩きながら、ある倉庫へとやって来た。その部屋の中に入ると、彼は適当な位置に立ち止まり、下の気配に全神経を集中させた。

『おい、どうなっているんだ!?』

『どうやら、侵入者がやって来た模様です。入り口の方でも、かなりの騒ぎになっています』

『人数はどのくらいだ?』

『ざっと十人程度かと』

『ちっ、反逆してきてここまで来るとなると、そいつら全員は腕の立つ奴に違いない——よし、お前も行け!』

『はい!』

 一階の会話を盗み聞きしたノガードは、ここのボスの側近が去り、順風満帆に進む作戦に思わず表情を緩めて頷いた。今回のタールの発明品も上手くいったようだ。それは音を鳴らし、影を投影させ、さずがにこの施設内では映像を出すまで作り上げるのは不可能だが、それでも充分に相手を攪乱させることができた。

 ノガードは、すっくと立ち上がると、筋肉で重たくなった体を、思い切り膝を曲げで踏ん張り、そして勢い良く垂直にジャンプした。そしてそのまま、膝を出来るだけ曲げで落下し、木の床に着く直前に、彼は思い切り足を伸ばした。

 彼の重みと、そして勢い良く蹴った足の威力で、木の床はぼぎりと折れ、そのまま彼は一階へと落ちていった。

 どごぅんという音と大きな埃が舞い、一階は一時、視界がゼロになった。だがしばらくして、それは収まり、一階の様子が露になった。

「なっ——だ、誰だ!?」

 目の前にいたのは、一昔前のレトロなスーツにシガーを咥えた、この家の雰囲気にあった男猫だった。彼は、突然振ってきた竜を見て、すぐさまハッとした。

「ま、まさか貴様、最近俺達の仲間を殺している奴か?」

 その質問に、ノガードは気楽に答えた。相手はフロウ並みの体型で、彼に言わせて貰えば虚弱体質だった。

「如何にも。俺がここに来たからには、次はどうなってるか分かるよな?」

 相手はとっさに身構え、何かを取り出そうとした。だがその直後、ノガードの体が宙に浮き、相手の頭上へと落ちた。部屋がそれほど広くないことも、ノガードは考慮済みで、実は緻密な落下位置の計算もしていたのだ。

 部屋に誰かが戻って来た。その慌てた声に、先ほどこのボスの部屋からさった側近だろう。

「あ……あぁ……」

「残念だが、お前らのボスはお亡くなりのようだ」

 ノガードは振り向きざまにいうと、そのままやって来た相手にゆっくりとにじり寄った。たちまち相手は逃げた。

 しばらくして、連鎖的に、次々とここに住む部下達が家をあとにした。ノガードはけらけらと一人で笑いながら、自分も部屋を出ようとした。

 だがその時、ふと廊下から、何か大きな存在が現れ、ノガードは思わず足を止めた。

「やはりな。次に襲うのはここだろうと、俺は予測していた。そしてとうとう、お前の顔を見れるわけだ」

「……お前は……」

 ノガードは見た、そこにいた、男の翼竜を。ぴっちしとしたスーツを着込み、それは明らかにサイズがあっておらず、そのおかげで彼のお腹は見事に協調されていた。つまりは、西部にいた鯱よりも彼は断然に太っており、恐らくこのグレース・タウンでは一番重い体をしていたのだ。


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