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小説Gameなんですが、前にプログラムで公開したやつで続きを作りたいと考えてます。いかんせん分岐が欲しくって、それでちまちまとさりげなくやってたりするんですが、元々ゲーム作りは止めたと明言したので、完成しなかった暁には続きを書こうと思います。

とりあえず今回は、ふと新しい物語が思い付いたので、ついでにホムペのやつから移行させたいものがあったので、少し初心に返りつつ、それを利用してまたまた勢いで書いてみようかと思います。


 グレース・タウン。思いやりを持つよう更生して欲しいと願って作られた、円形の防壁に囲われ、天井も見えないバリアで覆われた犯罪者たち用の巨大な更生施設である。刑務所とは違い、一人一人にはしっかりとした住居があてがわれ、必要最低限の食事と衣服が用意されるだけでなく、仕事をしたり遊んだり、あらゆることが自由に出来た。そうすることで、社会復帰を容易にさせようというのが本来の目的である。

 だがしかし、そう筋書き通りにいかないのが、罪を犯した者達である。自由にいられることをいいことに、このグレース・タウンで再び悪事を働くものが現れたのだ。この町は、防壁周辺にはしっかりと安全網を張り巡らしているとは言え、極力普通の世界と同じ管理下にない町を表現するために、防壁から少し離れると、そこは無監視地帯となってしまうのだ。

 やがてグレース・タウンは、第二の犯罪エリアとして、当初の目的とはからきし反対の、悪人達を更に育てる無法地帯となってしまった。

 そんなグレース・タウンに、今、新たな犯罪者が送り込まれてきた。

「ほら、さっさと歩け。お前の家はそのタグに書かれてるからな」

 そういって刑務官に押され、一人の竜が防壁通路を抜けてグレース・タウンに入った。その竜は、全身筋骨隆々のがっしりとした体格で、黒と白のボーダー・シャツを身に纏い、その胸に付けられたタグには、この町内の住所と同時に、名前の「ノガード(=Nogard)」と言う文字が刻み込まれていた。

 ノガードは、上半身を振り返らすと、先ほどの刑務官に唾を吐きつけた。

「るせぇ、ポリ公は引っ込んでな」

「ちっ、このクソったれが」と刑務官は、防壁通路の鉄扉を厳重に締めて鍵をかけると、一度ノガードを睨みつけてから、通路の奥へと引き返していった。

 ノガードは、今一度グレース・タウンを見下ろした。この町は、円形の防壁から中心にかけて窪んでおり、ここからだと、町内の様子が一望できたのだ。

 しかしながら、グレースのもう一つの意味である気品など、そこには一欠片もなかった。それにノガードは、思わずにたりと片方の口端を持ち上げると、タグを見て、その場所へと歩き始めた。


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