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ノリで書いた前回の小説。なんか色々と続きが浮かんできたので書いてみます。ただタイトルはまだ未定で、ちびちびと進める予定です。


ドラゴン グラップ

鮫 ルアム

 


 高校を卒業し、三年が経った。ドラゴンのグラップは、三つ星ホテルのレストランで料理をする腕前にまで成長していた。しかしそれと同時に、特徴的なお腹もまた、一層成長していた。

「あっ、と失礼します〜」

「おいおいグラップ、また太ったんじゃないのか。厨房が狭く感じるぞ」

 料理長に言われたが、グラップも自覚をしていた。しかし自分で作った料理を食べることは、どれほど幸福なことか。

「すみません、善処します」

 それでも、グラップの肥大は止まらなかった。どんどんと巨大化していく彼に、料理長も頭を悩ませた。いくらホテルの厨房が広いとは言え、平均の3倍近くにまで太ったドラゴンの体は、さすがに邪魔だ。

 そんなこともあり、料理長はとうとう、ある決断をした。そして仕事終わりにグラップを、更衣室に呼んだ。

「……えっ、海外のレストラン、にですか?」

「ああ。正直なところ、君の体は他の料理人達の邪魔になってしまう。だからといって、君のその技量を捨てるのは非常にもったいない。そこで、私の海外の知人達に問い合わせ、探して貰ったんだ。すると、とあるアサイリーマにあるレストランに、非常に恰幅の良いシェフがいる場所があってな。君のサイズなら全然問題はないそうだ」

「そう、ですか……なんだか色々とご迷惑をかけて、ごめんなさい」

「いいんだ、気にするな。何事も仕事に熱中すると、どうしても自分の体のことは等閑になってしまう。良く自己管理が出来てないという奴もいるが、私はそうは思わない。君の場合は料理に関して、非常に一途だ。是非向こうの方で、本場の技術を磨いて貰いたい」

「分かりました、ありがとうございます」

 こうしてグラップは、アサイリーマへと移住することになった。向こうに着くと、三年前にルアムが言っていたことの意味がようやく分かった。何せ身長が高い人が多く、しかも今の彼と同じぐらい、つまり平均より三倍近く太った人達も、所々結構な頻度で目にするのだ。母国ではほぼ皆無に近く、一日に見れないことが殆ど。しかしここに来れば、一日買い物に外へ出るだけでも、絶対一回は同じ体格の人物に遭遇する。おかげで、実は少し狭苦しさを感じていた彼も、ここでは開放的になって暮らすことが出来た。

 仕事先の噂のシェフは、もっと凄かった。自分の倍近い体格の、本当にでかいシェフで、厨房の通路もそれに合わせて大きく、グラップが二人並んでも通れる広さだった。周りには平均より太ったコック達が結構な数いたが、シェフほどに肥満した人はいなかった。そのためグラップに、シェフは非常に好感と親近感をを寄せていた。

 そんなこんなで、グラップはこのアサイリーマで生活し始めた。彼の技量は確かだったのですぐに仕事にも馴染み、あっという間に店に必要なコックとなった。

(そういえば、ルアムもまだここにいるのかな。どこかで出会えたらいいんだけど)

 そう思いながらグラップは、今日も仕事に打ち込んだ。

    続


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